高鳴りの髪


そんなやり取りをしてると


「あれ?ひまわりと北谷は?」


俺はその場にずっと居た湯山に聞く


「ひまわりが北谷連れてどっか行ったよ」


「は??みんな休憩じゃなかったのかよ!」


「なんかおいしそうなポップコーン見つけたんだってさ」


「まあなんでもいいや」


しばらくすると


「見て見てー!ハチミツ味のポップコーン見つけたよー!」


ひまわりが帰ってくる

うわーー甘そうな匂いだ

でも俺は甘いの好きだからおっけー


「美味しいから食べてみて!」


ひまわりがみんなに一口ずつポップコーンをあげる

ただひまわりの手で口に運ぶ形だから人によっては恥ずかしいかもしれない

北谷なんかはまた顔を赤くさせていた


そしてもう歩き疲れたところで

湯山があるものを見つけてしまう


「あ、ここいいじゃん」


湯山が指を差したところは


【恐怖の花畑】


お化け屋敷だった


ひまわり

「は、はは!ここはやめよう!

悪の花が咲いてる」


遥香

「そそ、そうだね!花を悪用するなんて許せないよね!」


「グッパーで分かれよう」


遥香

「話聞いてなくない!?」


ひまわり

「いい、いや!私は前世が霊媒師だったからわかる

ここには無数の霊がさまよってる!」


「3人1組だからよろしく」


ひまわり、遥香

「……………」


結局強引にお化け屋敷に行くことになった


「グッとパーで分かれましょ!」


1発で決まった

俺とひまわりと水瀬

北谷と手島と湯山

ま、まじかよ!水瀬と同じチームかよ!!

嬉しいような悲しいような……

…俺もお化け怖いんじゃあー!!!

いやだよ!!行きなくないよ!!

でも水瀬の前でこんな泣き言言えねーよ!!

あああああどうしたらいい!


お化け屋敷の入口に立つ


ひまわり

「南無妙法蓮華経」


遥香

「南無阿弥陀仏」


風馬

「カムサハムニダ」


くそ、もうわけがわからん


「ねえ北谷〜抱きついたりしちゃったらごめんね?」


北谷

「や、やめてよ!!」


しずく

「私はホラーとか大丈夫だから、3人とも頑張ってねー!」


風馬

「…………」


懐中電灯を渡されて

お化け屋敷の中に入る


ひまわり

「……ふーま、先に行って」


風馬

「お、押すなよ!」


遥香

「……………」ガタガタガタガタ


ビビりながらも1歩ずつ前に進む


ひまわり

「きゃあーー!!!!」


風馬

「わー!!!なに!?」


ひまわり

「靴紐ほどけた!!」


風馬

「ぶっ飛ばすぞお前!」


遥香

(も、もう無理……)


ひまわりが紛らわしいことしたせいで遅くなる


【がぁぁああああーー!!!】


風馬

「うあーー!!!」


ひまわり

「ひゃあーー!!」


ひまわりは俺の腕にしがみつく


風馬

「待て、水瀬はどこ?」


ひまわり

「え?」


後ろを向くと


遥香

「もう……無理……」


泣きながらしゃんでる水瀬を見つけた

……水瀬

俺は水瀬の元に行き


「立てるか?」


水瀬に手を差し伸べた


「……うん」


俺の手を掴む水瀬は立ち上がる


「大丈夫、俺が居るから安心しろ」


隣にひまわりも居たけど俺は水瀬に少しでも安心して欲しかったからそう言った

俺がそう言うと

俺の腕を掴んでたひまわりの手が離れた気がした

それでも俺はお構い無しに水瀬の手を握る


そして


風馬

「で、出口だー!!」


後ろを見るとひまわりはすぐそばにいた

俺は出口を出た瞬間に水瀬の手を離してしまう

柔らかい手だったな

その感触というか温もりがまだ残ってる気がする


「ぎゃあああああああああ!!!」


お化け屋敷の中からものすごい悲鳴が聞こえた

な、なんだ?

やっぱり怖すぎだよなこのお化け屋敷……


出口から出てきたのは

血だらけの北谷だった


「きゃあああ!!北谷くん!?」


ひまわりが北谷の姿を見て動揺を隠せない


「き、北谷!?おい!北谷!?」


な、何があった……

北谷は出口を出てすぐに倒れる

こ、これは殺人事件だぞ!?

このお化け屋敷まじでやばいんじゃ……

後から出てきたのは


「ふうーー北谷の逃げ足早いなー」


しずく

「あんたがあんなことするからでしょ!?」


手島と湯山だった


「あれ?北谷のやつ鼻血出てる」


しずく

「あんたのせいだってば!!」


風馬

「お前のせいかい!!!」


「ちょっと刺激が強すぎたなー」


相変わらず湯山は北谷をおちょくってるみたいだ

おばけより怖いのは湯山だな


ダフニーランドも閉館の時間になる

雪乃と母さんのお土産も買ったし

そろそろお開きだな

北谷は鼻血から目が覚めて今ではひまわりがあげたポップコーンを全部食べてる

よかったよ北谷が元気でいてくれて

電車に乗ってそれぞれの最寄りに降りる


「そういや水瀬って俺らと同じ駅?」


電車に揺られる水瀬に聞いてみる


「ううん、違うよ、引っ越したからね」


「おーそっか」


そうだよな

引っ越したから中学で知り合いにもならなかったんだもんな

駅を降りてひまわりと一緒に帰る


「今日も楽しかったなー」


「そうだな」


何かある度にひまわりと一緒に帰ってるな

ひまわりと一緒に居て迷惑だと思ってたのは中学の時に水瀬に話しかけようと思ったところを邪魔してきたからというのが1番だけど今はそうでもないな

今は今で楽しいしひまわりが居てくれて助かった

水瀬ともさらに仲良くなれたし

手繋いだしな……


「ふーま?なんでニヤニヤしてんのー?」


「え??なんでもねーよ

ばかやろー」


「なんで!?」


これからの高校生活

楽しくなりそうだな



【おまけ】

〜ダフニーランドにて〜


遥香

「ねえ、明日もダフニーランド行かない?」


「2日連続は行かねーよ……」

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