落書き

革命だ。革命を起こさねばならぬ。

そこには、身がはち切れんばかりの、激情を燃やす男が居た。


男は、「革命」と名乗った。

革命家、では足りなかった。この男が抱く強固で、過大な信念を、人などという存在に落とし込むことは不可能であった。


握り締めた拳からは、黒い血液が溢れ出していた。真一文字に結ぼうとした唇は、根を離れた舌を抑えつけることが出来なかった。


あの見開いた、そして鋭利な刃物の如き眼に、新たな光明が射すことは、二度と叶わなかった。


男が行き着いたのは、壮絶さも欠ける自壊なのだった。

その潰えた姿こそが、私の革命であった。

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自首記 Onfreound @LieWound

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