2024/3/16

もし、痛みを感じることなくこの世から消えることができるスイッチがあったなら、押していた、らしい。


中学二年生の時、担任が、大学時代を振り返っていた中で出た話。どんな出来事があったかなんてのは一切覚えていないのだが、この”感覚”だけは僕を強く、強く突き刺した。


あれから、僕は何度押そうとしただろうか。押したつもりになっていただろうか。構想、妄想は幾度もした。高校の廊下でも、ベットの上でも、消えたいと口に出し続けた。


だが、そんなスイッチは、少なくとも今のところ存在しない。無痛で息絶えることは出来るかもしれないが、お前がこの世界の束縛から逃れることはできない。というか、スイッチがないと分かっているから実行できていたが、実際に手を伸ばす勇気は、果たしてあるのだろうか。


彼が自死を選ばなかった理由、それは「痛いのは嫌だったから」だった。結構厳しい剣道部に属していたという彼が言うのだから、真理だと思う。ましてや、僕みたいな惨めな人間が、自分勝手に最期を迎えようだなんて、あまりにも身分不相応、役不足なのかもしれない。


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