第6話 エレジープレゼンツ!プロデュースド byエレジー
それは・・・
バイト君たちにそれぞれお揃いの白の半パン、Tシャツ。私と先輩のMさんは紺色のジャージの上下。そして、ピッピッって体育の授業で使う笛を首からぶら下げる。
そう、まるで体育の授業直後にやって来たかのような演出。めちゃめちゃオモロいと自分では思っていた。
キャバクラの開店時間まで間があるので、ユニクロへ。確か5月くらいだったと思う。時刻は夜になりつつあり、少し肌寒かった。
「エレジーさん、ちょっと寒いっす!」
着替え終わったバイト君たちが言った。
「大丈夫!酒飲んだら暖かくなる!」
そういう自分は長袖やのに、もう完全にパワハラですわ。(笑)
とにもかくにも皆、お揃いのコスプレをして宴の前の腹ごしらえ。アメフト仕込みのガタイの良い白の半パン履いている変な統一感のある集団が飯を食っている。
周りの人々も、あからさまにこちらを見ていないけれど視線を感じる。相当、目立っているのだろう。(笑)
食事も終わり、キャバクラの開店時間となったので店に向かう。パッションがある通りに差し掛かった。
「おっ!ビリーさんおるでー!連チャンで行くから、ビックリするやろな!」
私たちの反対方向を見ていたビリーさん。こちらに顔を向けた瞬間。異質な服装の集団にすぐ気がついたようだ。
またあの憎めない笑顔で近づいてきた。
「ワーー、マタキテクレタ?ウレシイワーー!」
このカタコトがまたくすぐるんよね。
「まだ、ビリーさんの店行くなんて一言も言ってへんのやけど?」
私のいけずな言葉に哀願するような顔で言った。
「ソンナコトイワナイデ!ゼヒオネガイシマスヨーー!」
「ウソやん、ビリーさんの店一択に決まってるやん!今日も頼むでー!」
「アリガトゴザイマーース!」
この「アリガトゴザイマーース!」という時の少し声色が変わるのも私は好きだった・・ってどんだけビリーさんの事気に入ってん!(笑)
昨日と同じくビリーさんとエレベーターに乗り込んだ。
「だから~また人殺しみたいになってるよ!ビリーさん!」
インカムに昨日と同じ鋭い目つきで店に報告していたビリーさんが、八ッ!とした顔になる。
「何、これデジャヴ?」
エレベーター内が笑いに包まれた。
店内に入る時、あらかじめ打ち合わせしていた通り、バイト君たちは縦一列に並び、私、Mさんが笛をピッピッ!と吹きながらサザエさんのエンディングのように誘導し入店。
「ぜんた~~い止まれ!1!2!」
私がそう言って姿勢を正して止まる・・・までが私のプロデュース。女の子たちも最初はビックリしていたけれど大笑いしていた。
結局、競馬で勝った金使い果たすまで店にいた。
その後も、私が関西に行った時はビリーさんの店がいきつけになった。
この思い出は今でもたまに思い出しては心を温めてくれる。
ゴッドギャンブラー エレジー @ereji-
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