第3話 ギャンブルってね・・そういう事

午後のレースから皆で阪神の仁川競馬場へと向かった私たち。


誰がツキを持っているのかわからないので、残金3万弱を5人で割って、いざ勝負!


皆、思い思いの買い方で馬券を買っていた。勿論、今晩もキャバクラに行く!というのが目的なので大勝しなければならない。


まぁ、ギャンブルをやった人なら分かると思うけれど、そんな都合よく儲かるはずがない。


ただ私には“ある秘策”があった。


それは・・・






















ジョッキーの誕生日で買う!

















つまり、レース日に誕生日が近いジョッキーを軸に買う方法。誕生日の日は気合いがいつも以上に入るだろう的な、すごくシンプルな根拠。


私は大学生の頃から競馬をしていて、この方法で1日に万馬券を連発で当てて50万くらい稼いだ過去があった。


ならばそれを続けていれば、今頃、億万長者になっているじゃないか。


そう。


そんな人生楽して金は稼げない。必勝法があるのならギャンブルは成り立たない。


つまりはそういう事。


あん時は、たまたまそのやり方がハマっただけの話。しかし悲しいかな、人間というのは夢よもう一度と追い続けてしまう生き物。


私はそれに賭けた。


ピックアップした穴っぽいジョッキーを軸に、人気どころに馬連で流す作戦最初の頃は、皆、夢や希望に満ち溢れてワイワイやっていた。


ところがレースが進むに従ってジリ貧になっていく資金。皆の口数も減っていき悲壮感が漂う。


私の勝負レースはメインレースだった。


レース日その日が誕生日のジョッキーがいたからだ。その他のレースは誕生日が数日ズレているジョッキーばかりだったから。


だから6000円の半分、3000円を残していた。後の3000円はすでになくなっていた。


まさに背水の陣。


誕生日のジョッキーを軸に500円ずつ6点上位人気馬に流していく。


6番人気との組み合わせだと、なんと100万オーバー。


夢は膨らむばかり。・・・まぁ来ないんだけれど。(笑)


固唾を飲んでレース開始のファンファーレを待つ。


高鳴る鼓動。


否が応でも興奮してくる。


♪パーパッパパラランー!パーパパパパラララーーン!♪


いざ勝負・・・











ガッシャーーン!












ゲートが開いた瞬間、私が軸にしていたジョッキーの馬が興奮したのか不必要に立ち上がり出遅れた。












この瞬間、私の夏は終わった・・・


あれ絶対ヒヒーーーーンって鳴きながら立ち上がっとるやろ、聞こえんけど。(笑)


んなこたぁどうでもいい。


大きく出遅れた私の軸馬はビリっ尻でゴール!


私は明日のジョーばりに真っ白に燃え尽きていた。





終わった・・・





燃え尽きたよ・・・





真っ白な灰になっちまったよ・・・






明日のジョー読んだことないけど。(笑)


「エレジーさん・・」


抜け殻のようになっていた私にバイト君たちが言った。


「残りの金、エレジーさんが勝負して下さい!」


皆、順当に負けていき、最終レースにと金を温存していたバイト君たちが残金全てを私に託してきた。


「お前たち・・・」


じゃ映画アルマゲドンのテーマ曲でも流しとこか。


それくらい、シュチュエーションがクソだけれど、ホント今思い出してもドラマのワンシーンのようだった。


今思い出しても胸が熱くなる・・


残金2000円ってのが笑えるけど。(笑)


しかし、感傷に浸っている余裕はない!最終レースの締め切り時間が迫っていた。

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