第2話 果たして・・・×2

果たして・・・


























いたって普通のキャバクラだった。


ま、会計の時に目玉ボンヨヨヨ~ン!ってなるかもしれんけど、他にもお客さんがいるし普通のキャバクラだろう。


過去にぼったくられたことがあるけど、そん時は店内に入った瞬間にわかるくらい独特の雰囲気だからわかる。経験からくる勘ってやつだろうか。


そして、それぞれ女の子が座れるスペースを個々に空けてボックス席に座った。


「ビリーさん!この子らキャバクラ初体験やからエエ子、頼むで!」


「マッカセテクダサ~イ!」


ビリーさんは日本人があまりやらない胸を叩きながらのジェスチャーと共にそう言った。


「いらっしゃいませ~!」


可愛らしい声と共に5人の女の子たちがやってきた。


この時、がっつり顔を見たいけれども、どうしても最初は顔を見られない。これは何故だか遊び慣れていても変わらない。一応、話ながら全体の女の子たちをチェックした。


ふんふん・・皆、可愛いらしい。ひとまず安心。


さぁ~皆、楽しんでくれよ!


私も自分が飲み屋初体験の頃を思い出していた。


悲しいかな、男の本能だろうか自分のタイプの子がいないか再確認してしまう自分。すると、私の向かいに座っている女の子。顔、喋り方、雰囲気。ドンピシャのタイプだった。


でも、まさか、え~と、ちょっとこの子と変わってくれる?みたいな人としてあるまじき事など言えるわけもなく隣の子と喋っていた。


2ショットで喋ったり、皆でワイワイ喋ったり。そして、話の流れで私が前の子の事をいじった時。


「もぉ~ムカつく!」


そう言いながら目の前にあったおしぼりを私に投げてきた。


「おーい!ビリーさん!この子、おしぼり投げてきよったんやけど!」


あ、字面で書いたら本気のクレームみたいに思うかもしれないけど、あくまで笑いながらギャグとして言った。


なんか、こういう普通、客、しかも初めての客なのにこういう事する?って、そういう所もタイプなのである。少し私はMなのかもしれない。(笑)


「スミマセン!ソロソロオジカンデス!エンチョウハ・・・」


ビリーさんがまたあの憎めない笑顔&懇願するような眼差しでひざまずいて私を下から見てくる。


やめて~!ビリーさんのその憎めない笑顔&懇願するような眼差し!


「アカン!この店、全然オモンないわ!・・・・・ウソやん!誰が帰るかいな!エエ店やで、ビリーさん!延長に決まってるやん!」


私が言葉を溜めている間、ビリーさんはシュンとした悲しそうな顔をした。


またこれがいい顔をするんだ!私が延長すると言ったら弾けるような笑顔に。またまたこれがいい顔をする!


でも、皆を連れて来ている責任もあるので、チラッとビリーさんが持ってきた今帰るとこの値段という伝票を見た。5万弱。


だいたい1人1時間8000円といったところか。私の水羊羹並みのつるつるで皺のない脳みそをフル回転させた。手持ちは20万だったので、まだいける。


結局、カラオケしたり、バカ言ったり3時間いた。お会計、18万くらいだったと思う。


「いや~エレジーさん!めっちゃ楽しかったっす!」


「そうか!そりゃあ良かった!」


バイト君たちはキャバクラ初体験、相当楽しかったみたいで良かった。寮に帰り、皆で雑魚寝をしながら各々のキャバクラ初体験記を聞かせてもらった。


翌日、付き人を卒業していた私は休みだった。昼前に皆、起きて昨日の話題を喋っていた。


「あ~こんな話してたら今日も行きたなってきたな!」


私の嘘偽りない気持ち。


「そうっすね~!行きたいっすね~!」


私には退職金300万があった。


しかし、消費者金融での返済の為、自由に使える金は昨日使った20万の残りしかなかった。金額にして昨日の残金2万弱。諸々の残金かき集めて3万くらいか。


「今日、土曜日やし、仁川行って増えたら行こか!」


「行きましょ!行きましょ!」


私が住んでいた場所は仁川競馬場の近くだった。



果たして・・・

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