裁縫師

猛烈にとっ散らかった部屋の中に、椅子が二つ。


出口側に座っているのが僕で、向かい合ってにして舐めるように僕を見ているのが僕をこの部屋に拉致った張本人。


「ふーむ…身長は悪くないし、顔もそこそこ。若干痩せ気味なのが気になるけど…まぁ及第点ね」


勝手に体格の採点をされた。しかも評価が渋め。泣きたい。


「とりあえずそれ脱いでこれ着ときなさい。採寸は後でするから」


そう言ってぶん投げられたのは、お目にかかることは無いだろうと思っていたしっかりとした洋服。(多分)木綿の白いシャツと黒いズボン、革ベルトには銀細工の金具まで付いている。


「こ、こんなもの貰えません!」


「いいのいいの。城内を下着でうろつかれる方がよっぽど困るし、こんな金具私らにとっては安いものよ」


「安いものってなんでしたっけ」


金や宝石には劣るとはいえ、銀細工の価値だって安いものじゃ無い。それをここまであっさり言い切ることに若干鳥肌が立ったものの、押し切られる形でシャツを羽織り、ズボンに足を通す。


「っと、自己紹介を忘れてたわ。私は唐木田からきだ 茉莉まつり。お祭りのマツリじゃなくて、茉莉花ジャスミンのほうのマツリよ。貴方は?」


「ズボン穿いてる途中の人に聞きますかね?普通…旗野 喜代彦、十五歳です。よく誤字られるんですが、喜ぶに何代目とかの代と書いて、その後に時代劇とかでよく見る彦が付きます」


「ほーん、珍しい名前ね。ま、私も人のこと言えないんだけどさ」


着替えながらの自己紹介を終え、姿見に映る僕の姿は意外と様になっていた。


「余り物で申し訳ないんだけど、寒かったらこのコートを使いなさい。裏面に綿を織り込んであるから、真冬でも無い限りは大丈夫なはずよ」


「ありがとうございます…って、また銀細工が付いてるなぁ…」


ベルト金具の次は銀ボタン。どう見ても15歳のガキンチョが着ていいような物では無いと思う。


「だから大丈夫だって言ってるでしょ?



戦争屋ってのはね、結構儲かるもんなのよ」





「…戦争…屋?」


なかなかにバイオレンスかつ不穏なな単語が出てきたことに、僕の脳は混乱する。


「あら、あのオッサン何も教えてないのね…しょうがないわ、に私が教えてあげる。



この世界の、歴史をね」


そう言った唐木田さんは、どこかうれいを帯びた目をしていた。

______________________________________

唐木田 茉莉 (からきだ まつり)

名前:???

年齢:(検閲済み)歳

職業:仕立屋

レベル:そんなもんはない

特性 : 裁縫稼業S

装備:

- 瞳のペンダント

- 針仕事師の宝箱

- 小型力織機

- 脚踏み式ミシン



今回少々短くて申し訳ありません。プロット的に区切りのいい場所がなかなか見つからず…次回からはしっかり伸びていくのでお楽しみに


ついでと言っちゃぁなんですが、この作品が気に入ったという方は、ハートや星、フォローなんかも押していただけると、作者のモチベと筋力とその他諸々に還元されるのでお願いします。


あ、ちなみに私のリアル筋肉はほとんどないです。脳筋なのはエ〇デやらヤー〇ムやらの中でだけです。

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