自室
「603…603…あ、あったあった」
廊下を進むこと約五分。数百メートルほど緩やかに曲がりくねった廊下を進み、突き当りにある岩肌から張り出した頑丈な石のバルコニー(クロスボウ完備)の脇に603号室はそのドアを構えていた。
「あ、部屋の中は結構きれいなんだな」
見るからに古い板張りがなされただけの殺風景な洞窟のような廊下とは違い、部屋の中はしっかりと手入れが行き届いていた。
「壁もきれいだし、ホコリは積もってるけど床も…あんまり作られてから時間は経ってないのかな?」
それとも単純に使う人が居なかっただけなのかはともかく、自分の武器防具を安心しておいておけるスペースができたのはありがたい。
「馬鹿野郎!剣をそんな風に研ぐやつがあるか!」
「す、すいません!なにぶん初めてなもので…」
「まったく…まぁ初めてならまだいい。ちょっと貸してみろ」
「えーと、防具掛けとかは…うわ、武器防具が二、三セットも置いてある。ありがたいけど…なんか怖いなぁ」
血糊落としの時に先輩から教えてもらったことを思い出しながら、武器防具をあるべき場所に置いていく。
高すぎて手が届かないところも所々あったけれど、運よく部屋に木箱が転がっていたのでそれでどうにかした。
「よっし、こんなもんでいいかな」
最終的に何とか武器防具を全部台にかけ終わるころには、すでに日が落ちていた。
とはいえ、廊下が暗いのかと言われればそういうわけでもなく、天井からぶら下げられた金属枠のランプがしっかりと足元を照らしてくれていて、おかげで廊下の端からでも簡単に歩くことができた。
「ちょっとあなた、その恰好はマズいんじゃない?」
散歩してたら、見知らぬお姉さんに呼び止められた。
「ええまぁ、私の格好がきわどいことは認めましょう。でも、それ以前に…アナタそれ、下着姿で歩き回っているも同然よ?」
「えっ…マジですか?一応焼け残った下着は着てるんですけど…」
「それとこれとは話が別なのよ」
見た目感じではまともな服に見えたんだけれど、やっぱり下着だったらしい。とはいえ、これ以外に持っているものといえばギャンベゾンか焼け焦げてボロボロの学生服程度。それを正直に伝えると、
「なんだ、それを早く言いなさいよね?ほら、こっちに来なさい!」
「わ、わわっ!ちょ、どこへ連れて行くんですかぁぁぁ!?」
拉致られた。
なお、僕を引っ張っていった彼女の服は、肩出し+開いた胸元という、結構きわどいスタイルだったことも書いておく。
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???
名前:???
年齢:??歳
職業:仕立屋
レベル:そんなもんはない
特性 : 裁縫稼業S
装備:
- 瞳のペンダント NEW!
この世ではない場所で作られたといわれる、精巧なペンダント。はめ込まれたガラス細工の瞳は、どこか魔力を漂わせるように見えて、しかしその実ただのガラス玉である。
- 針仕事師の宝箱 NEW!
かつて大陸一の腕を誇った仕立て氏が、その弟子のために特別に用意したといわれる道具類のおさめられた木箱。見た目こそただの薄汚い箱なれど、その中身の持つ価値は並みの人々には計り知れないほどである。
- 小型力織機 NEW!
度重なる無茶な要求に頭を抱えていた女仕立屋のために、とある技師が送ったといわれる織機。稼働させるのに膨大な水流の力を必要とする代物だが、その対価として美しい布を使う者にもたらす器械でもある。技師は、これとともにある品を彼女に送り、彼女はそれを受け入れた。
- 脚踏み式ミシン NEW!
度重なる無茶な要求に頭を抱えていた女仕立屋のために、とある技師が送ったといわれる小さな縫機。ペダルを足で踏んで上下させ、その動力で針を縫う。これの開発が成ったとき、技師は真っ先に彼の伴侶、仕立屋にこれを贈ったという。
わかる方にはわかると思いますが、瞳のペンダントはまんま星の瞳の〇人証です。本当は買いに行きたかったんですが、予算がそれを許してくれませんでした(号泣)
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