団長

『しばらくしたら』消えると言ったな。


あ れ は 嘘 だ (次話にして即消え)


毎週毎週新装備やらなんやら出してたら読者の方も混乱するし何より私の方のネタが…と言うことで、途切れ途切れの追加になりますがお許しください。


では、本編へどぞ






今、僕は空前絶後レベルで緊張している。


「貴公、我らの掟を受け入れ、また我らの剣、そして盾となり戦う…その覚悟、有りや無しや?」


山をくり抜いて造られた巨大なホールの真ん中で、磨き上げられた鎧を纏った男に跪いている青年、それが僕だ。


周りを取り囲むのは数百人の人間。体育館であろうと教室であろうと何処であろうといつもすみっこに潜んでいた僕にとって


- 巨大な空間のど真ん中で

- 大量の人に囲まれて

- しかも主役は僕自身


この三つのファクターが揃う事は人生で初めてのことだった。


さて、何故このような事になったのかについて、まずは数日前に遡って説明しよう。



血糊落としを終え、広い城壁上をのんびりと歩いていた僕の元に、さっきの戦闘でお世話になった団長がやってきた。


「よっ。こんなとこにいたのか」


「あ、団長」


戦利品分配で手に入れた短弓を手に、ガシャガシャと鎧を脱げないままに城壁の上を彷徨っていたところを拉致られ、連れてこられたのは城の最上階、団長殿の執務室だった。


「で、だ。お前誰よ?」


「あ、そういえば自己紹介どころか挨拶すらまだでしたね…」


言われてみれば僕は焼け死にかけた(と言うか物理的に焼け死んでた)所を命からがら転がり込んだだけの、いわばよそ者だ。むしろ今まで殺されなかったのが不思議なくらい。まぁ死なないんだけど。


ともかく、初めて団長の素顔を真っ向から覗き込む。


歳の頃は爺さんに片足を突っ込んだオッサン、つまり五十から六十。白髪と黒髪が7:3ぐらいで混在しているものの、実際にフルプレートアーマー重量物を着込んで鋼鉄製の大剣超重量物をぶん回していたのを目撃しているため、そこまで年季などは感じられない、というか感じるわけがない。


最初に自己紹介をしたのは団長だった。


「っと、申し遅れたな。俺は川越、川越洞爺かわごえとうやだ。字は…川越はわかるか。北海道の方に洞爺湖ってあるだろ?アレと同じ字を書く。聞いての通りの転生者だ。で、お前さんは?」


年の功か実力か、彼の顔が醸し出す圧に気圧されながら、僕は自己紹介を始めた。




______________________________________

団長

名前:川越洞爺(かわごえとうや)

年齢:58歳

職業:???

レベル:そんなもんはない

特性 :

年の功B+

装備:

- 狂王の大剣 NEW!

かつて大陸を支配した『狂王』バーラントが率いた重騎士たちが振るった総身が鋼鉄で出来た大剣。飾り気の一切ないその刀身は、かつての狂王の性格を映し出す。尋常の筋力で扱えるはずもないその大剣は、故に馬上の騎士をも叩き切りうる。狂王の名は、故なきものでは無いのである。


- フラビア騎士の胴鎧、脚鎧、手甲

- フラビア兵の大兜 NEW!

ブラビア王国の精鋭たる騎士たちが好んで被る兜。数枚の鉄板を組み合わせて作られており、主に斬撃や刺突に対して高い防御力を発揮する。所々に印字された紋章は、なぜかフラビアの物ではない。とある学者はわけ知り顔でこうのたまう。「かつて滅び去った大国の紋章だ」と。


- 輝石の指揮杖 NEW!

頭に蒼炎アイオライトのかけらを嵌め込んだ、シンプルな象牙の杖。かつては詐欺師や呪術師がアヤシゲな儀式に使ったこの杖は、今やその宝石に込められた石言葉、『導き』にあやかろうとする古今東西の指揮官達により愛用される。


- フラビアの大軍旗 NEW!

フラビア軍の往く所どこにでもついて回る巨大な旗。金糸のフリンジで彩られた青い布は、紅で縁取りがなされており、中央には王国の紋章が銀糸でこれ見よがしに刺繍されている。王国の滅亡近しい時、最後の国王はこれを、とある男に託したという。『再興』の二文字を、その願いを込めて。

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