短弓

今回の話よりフレーバーテキスト復活となります。多分しばらくしたらまた消える。

ていうか最近主人公死んで無いな…そろそろ死んでもらおうか(鬼畜の所業)




さて、敵軍勢が逃げ去った後に対岸に残されたのは大量の武器防具に数多く攻城兵器、兵を養う(予定だった)兵糧、そしてグロ画像で済むラインをとっくに通り越した大量の死体の山である。


流石に初陣の僕に死体を始末する仕事が回ってくるなんて事は無かったものの、それでも血糊のついた武器防具の掃除はやることになり、僕は匂いに悶えながら、ひたすらにベトベトの鎧の内側を磨く事になった。



さて、これから僕がお世話になる(暫定)城塞は、僕が想像していたような高く聳えるタイプのものではなく、どちらかと言うと地面にへばりつくようなタイプの城壁が、丘に沿って段々と続いているような城だった。


当然、『低く分厚く』がコンセプトになっているから城壁の上は最激戦区でも足の踏み場が無くなるなんて事は滅多にない。地形も相まって、幅が数十メートルなんてのもザラだ。


要所要所を固めている塔も、塔と呼ぶにはちょっと高さが低すぎ、そしてがっしりとし過ぎだった。どちらかと言えば、城壁からはり出した砦の方が正しいくらい。


さっきの様に穴をぶち開けられる事はあっても、素人目でみても投石程度で崩れる事はほとんど無いと思う。


城塞にありがちな装飾の類も全くと言っていいほど皆無。威厳も見た目も全て投げ捨て、ただただ防衛施設として有り続ける城だった。



そんなこんなで時間は流れ翌日。


山をくり抜いて造られた巨大なホールに山と積まれた武器防具を囲み、戦利品の分配大会が行われた。


戦利品はきちんと、鎧なら部位、武器なら種類という感じで分類され、各自思い思いの物品を拾っていく。


段々と標高が低くなっていく山脈の中で、悩む僕の前に一つの弓が現れた。


『短弓』と、荒々しく重厚感のあると言うかヘタクソというか、とにかくそんな字(当たり前のように日本語が使われていた)で書かれたプレートがかけられているセクションに、それはポツンと取り残されていた。


黒く頑丈な木の弓なりに、不思議な手触りの弦。矢筈(矢の後ろ端)を番える部分には、弦の上からわざわざ鋼鉄で補強が為されている。


ありがたいことに、弓形の部分には矢を乗せる為のガイドのようなものが付いていた。今まで弓矢なんか触ったこともない僕でも、これならなんとかなるかも知れない。


「よっ…と。意外と軽いな、この弓」


そして驚くべきはその重量。頑丈な癖に、やたらと軽い。その重さ、約2キロ弱。僕はこの時は知らなかったのだが、木製の弓としては驚嘆すべき軽さらしい。


取り回しの良さそうな短弓を手に入れたことで、僕はホクホク顔で城壁上の散策へ向かった。




______________________________________

主人公

名前:???

年齢:16歳

職業:学生

レベル:そんなもんはない

特性 : グロ耐性 B

装備:

- フラビア騎士の大盾

- フラビア騎士の胴鎧、脚鎧、手甲

- フラビア兵の兜

- クレイモア

-東洋の短弓 NEW!

遠く東方の砂漠の国で生み出されたと言われる短弓。軽量ながら硬い尼黒樫を削り出した弓と、希少な龍の琴線を贅沢にも七本束ねたしなやかで力強い弦、そして中仕掛けに嵌められた鋼鉄の輪の組み合わせは、通常の短弓の三倍の射程と威力を叩き出す。かつてこれを手にし、優れた将に率いられた砂漠の騎兵隊は、六倍の敵を相手に敢闘し、これを打ち砕いたと言う。





この短弓のフレーバーテキストには元ネタがあり、古代パルティア王国の貴族、スレナス考案の軽騎兵の弓がそれに当たります。弦を一本から三本に増やし、鉄製の指当てを付けた簡単な改造だったらしいのですが、それでも通常の弓矢の三倍の射程と盾や革鎧を貫通するほどの威力を持っていたとか。


城壁の方もこれまた現実にモデルが存在しており、構造やコンセプトはかのヴェネツィア共和国が誇る城塞建築家、マルティネンゴ設計のロードス島の城壁を参考にしています。ドイツやらイギリスやらに脚光が当たりがちですが、大砲や銃の黎明期、15-16世紀では城塞建築のパイオニアは間違いなくヴェネツィアでした。こらそこ、弱小国家の浅知恵とか言うな。



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