勝利
「全隊、突撃!」
「「「「ウォォォォォォォォ!!!」」」」
団長の号令と共に、僕たちは一直線に先程龍にローストされまくった石橋を渡って行った。
重量のある甲冑を着込んだ数百の兵士が全力で橋を渡る威圧感たるや凄まじく、対岸の敵兵には早くも剣を投げ捨てて逃げ出す兵士や、へたり込む者まで現れ始めた。
「この調子で全員逃げてくれりゃ楽なんだがなぁ…ま、たった三百人弱なら上出来か」
だが、流石に敵国ヴァンデッタ王国直属の精鋭部隊(団長談)というべきか、目算一千五百を数える敵部隊のほとんどはしっかりと踏みとどまって、応戦体制を整えていた。
「チッ、しゃーねーか。手旗信号用意ィ!赤旗ァ!上げェ!」
突撃部隊の最後尾にいた兵士が赤い旗を上げた瞬間、それまで敵の投石機を狙っていた自軍のバリスタが、僕らの頭上を飛び越えて敵の本軍に太矢を放ち始めた。
敵としてもこの攻撃は予想外だったようで、迎撃準備を整えていた最前線の雑兵や騎士たちまでが浮き足立っているのが見て取れる。
「よしよし、いいぞ…赤旗ァ!下げェ!突撃再開!」
どうもあの赤い旗は、城壁上への合図のようだ。旗が下がった瞬間にピタリと攻撃が止み、僕らのターンになった。
「大将首が取れればそれが一番いいんだが、見たところ前線には出張ってちゃいないみたいだな。雑兵は無視しろ。騎士と重装兵を狙え」
「「「了解」」」
騎士と重装兵の何が違うんだと問いたかったが、流石に突撃前ということで空気を読む…
「あの、騎士と重装兵の違いって…」
なんて事は一切考えず、僕は団長に質問をぶつけた。
「このクソ忙しい時に聞くか?普通…まぁいい。わかりやすく言おう。俺みたいにフルフェイスメットの巨漢が騎士で、お前のようにヘルメット被ってるのが重装兵だ。重装兵の方が柔らかいということも覚えておけ」
「分かりました」
非常にざっくりかつわかりやすい解決が帰ってきた。生々しいかつバイオレンスな見分け方もセットである。
そんな一幕を挟みつつ、僕たちは再び突撃を再開した。
「隙ありィ!」
「くべぁッ!?」
ある時は大盾で剣戟を防ぎ、ある時は槍を剣で受け流しつつ間合いの内側に入り込み顎を盾で吹き飛ばす。
最前列の雑兵たちを踏み潰すのにまでに斃れた味方はそこまで多くはない。団長も行けると判断したのか、命令したのはより一層の攻撃だった。
「ひとぉつ!」
「ぐぼぇッ」
「ふたぁつ!」
「ぐごはッ」
「みいっつ!これで十分だ、撤退するぞ!」
「かはッ…!」
その場に居た騎士はおおよそ百人、重装兵は二百人ほど。団長が単独で轢き潰したり、僕たちが数人で寄ってたかってボコボコにしたりして、撤退する頃には敵軍は半分程度までに減り、敵将が退却命令を発したのか逃げ出して行った。
「勝鬨を上げろォ!!」
「「「「「ウォォォォォォォォ!!!」」」」」
僕が生まれて初めて掴んだ、本物の勝利だった。
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主人公
名前:???
年齢:16歳
職業:学生
レベル:そんなもんはない
特性 : グロ耐性 B
装備:
- フラビア騎士の大盾
- フラビア騎士の胴鎧、脚鎧、手甲
- フラビア兵の兜
- クレイモア
オプション装備 :
- 導きの宝玉
今回もフレーバーテキストは存在しませんが、そのかわり序章となる初陣編は終わったので勘弁してくださいお願いします(土下座)
あ、あとついでにこの作品が気に入ったという方は、ハートや星を押していただけると、作者のモチベと筋力に還元されるのでお願いします。
最後に一言、脳筋は正義。
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