鎧
咄嗟に駆け込んだ部屋は、どうやら詰所のようなものらしかった。
「おお…博物館で昔見たなぁこんなの」
置き去りにされたままの保存食や、衛兵たちが使っていたであろう日用品があちこちに乱雑に置き去りにされている。
「お、いいものあんじゃん」
偶然目についたパンを齧りながらこれからのことを考える。窃盗の罪悪感?死亡回数40回目ぐらいの時にはもうなかった記憶がある。
「一応ここの中でも数日は生活できそうだけど…この城の兵士たちが降りて来たら終わりだからなぁ」
最悪死ぬことはないとしても、自分がなぜだか知らんが不死だとわかった瞬間にどこかに幽閉されそうだ。
それを避けるためにどうすべきか、この部屋にあるものを見ながら必死に考え…
「そうだ、いっそのこと防衛兵になりすましてしまおう」
と、結論を出した。
幸い、衛兵の部屋ということもあって武器や防具の類はちゃんと保管してあった。
部屋に入って右側、階段の裏手の小さな潜戸の先に、三畳ほどの武器庫があったのだ。
黒焦げた制服のシャツを脱ぎ、綺麗に畳んであった下着らしきものに着替える。そして、さらにその上から橋の上にあった死体を思い出しつつ毛皮の分厚い上着を羽織る。
上着の方はわからなかったが、下着の方は、高校の世界史の授業で習った古代ローマ帝国のトゥニカというやつによく似ていた。
そしてその上から鎖帷子を着る。昔博物館で見たのは胴着タイプだったのだが、これは袖までしっかりあるタイプだった。
腕当て、肩当て、脛当てと苦労しながら鎖帷子の上に装着し、仕上げに大盾と同じ、青地に金糸の百合と鷲をあしらったサーコートを被れば、変装は完成だ。
「我ながらなかなかかっこいいな…」
武装は大盾と片手剣を選び、防御力より視界確保を優先して兜は面頬のついた帽子タイプをチョイス。
背中にはもしものためのクロスボウと矢筒を背負い、自信たっぷりにのしのしと階段を上がり、城壁の上へとたどり着いた。
「うわあ…」
城壁の上は、意外にも整然としていた。
攻撃側はひっきりなしに投石機を使い石弾を投げてくるものの、城壁の上に分厚く敷き詰められた土のおかげか土煙を濛々と上げるばかりで本体へのダメージはあまりない。
所々に黒っぽい液体の跡がついていたり、まだ新しい死体が転がっているあたり安心はできないが、それでも即死ということはn
「ぐぼぁっ」
立てたフラグは速攻で回収され、石弾が直撃。過去最長のTAKE 45は終わりを告げた。
気を取り直してTAKE 50。
何度かバリスタや石弾、挙句の果てにはタール瓶直撃と言った不幸の数々に晒されながらも主戦場へとたどり着いた。
「長かったなぁ…流石に城壁から叩き落とされる落下しするのは勘弁してほしいもんだ…」
ぱっと見、僕の周りにいる守備兵は数十人ほど。これなら紛れ込めそうだ。
______________________________________
主人公
名前:???
年齢:16歳
職業:学生
レベル:そんなもんはない
装備:
- フラビア騎士の大盾
- フラビア騎士の胴鎧、脚鎧、手甲 NEW!
フラビア王国の騎士たちが好んで身に着ける防具。華美な装飾を徹底的に廃し、軽さと防御力を追い求めた品。この鎧は貴族らの嗜好を満たすことこそなかったが、鍛冶師たちはそれを良しとした。最前線を駆け抜け、自らの武具に命を預ける騎士たちにこそ、この鎧は使われるべきなのだから。ただ返り血に染まる藍色のサーコートだけが、彼らにとっての飾りになるであろう。
- フラビア兵の兜 NEW!
フラビア王国に使える一般兵が身に着ける鉄兜。鉄帽の横に鉄の面頬を取り付けたものであり、顔面の防御力と引き換えに広い視界を得られる。時に酔狂な騎士たちも、この兜を身に着けることがある。彼らの多くは飛び道具を相棒とし、ゆえに頑丈だが顔面を覆ってしまう兜は邪魔なのだろう。
_________________________________________
ハートや星などを押していただけるよろしくお願いします。ちなみに中の人は元気に褪〇人やってます。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます