第9話 偵察終了そして保護
3日の調査が終わり、俺は先に森を出て調査報告をする。
ルナに「行かないで」や「私もついてく」など言われたが、ルナについて来られると色々勘繰られて面倒なのだ。
本当にデルスの娘なら最悪、処刑されることだってありうる。
「報告は以上だ……」
そう言うと、オリアナは調書に書き込み、
「ありがとう、これで依頼は完了だ。 報酬はギルドで受け取ってくれ」
「あぁ、わかった」
「それじゃあ私はいくわね、約束……楽しみにしてる」
「あぁ、今日は少し厳しい……明日でどうだ?」
「明日か……えぇ、なんとかしてみる」
騎士団のシフトってなんとかなるもんなのか?
オリアナは拠点に戻っていく……。
普通ならこのまま帰りの馬車に乗って帰るとこだが、再び森に入りルナを迎えにいく。
「戻ったぞ……」
「お帰りなさい、準備はできてるよ!」
渡した袋を見せてくる。
「よし、じゃあ少し歩くが疲れたら言うんだ……わかったな?」
コクコクと首を縦に振ると俺たちは森を出発する。
そういえばここの近くに村が見えたな……。
ここにくる途中に寄った村まで向かおうと一時間くらい歩くと少女の歩くスピードが落ちている。
「大丈夫か?」
「うん、大丈夫……」
しかし明らかにスピードが落ちていた。
「ほら、乗れ……」
膝を折り、背中に乗るように言うと「いい……」と言って歩き出す。
頑固だなぁ〜。
足も少しふらついてるようだし、このまま歩くと怪我しかねないな……。
「なぁ、俺も疲れたし休憩にしないか?」
ルナはコクリと頷き、俺が座ると横に座る。
ポケットから騎士団から支給された非常食のパンを取り出し二つに割ってルナに渡す。
「いいの?」
「いいに決まってるから渡したんだが?」
ルナは食事を受け取り、それを見る。
「こっち、多い……」
「いいんだよ、食べ盛りなんだし食え……」
こっちに返そうとするルナを無視してそう言うと、モグモグと食事をする。
本当はもっと栄養の高いもの食わせてやりたいが……。
食事を食べ終え休憩する。
「なぁ、ルナは趣味とかあるのか?」
「しゅみ?」
「自分がやって楽しいことだ」
「楽しいこと?」
「ルナは一人の時、何してたんだ?」
「お爺ちゃんが持ってた魔導書読んでた……」
魔導書って……渋いな……。
「その、お爺ちゃんは魔法を教えてくれなかったのか?」
「お爺ちゃんはお前に魔法は似合わないって最低限しか教えてくれなかった」
そう言うと、人差し指を立てる。
そこから炎がユラユラと燃えていた。
流石はこの国で魔聖に最も近いと言われた男の娘だけはあって無詠唱が使えるようだ。
「どんな魔法が使えるんだ?」
「使ってみていい?」
そう言うと俺は許可を出し、彼女は魔法を唱える。
「
そういうと、複数の炎の球が連射される。
「待て待て……」
瞬く間に炎の球が樹木を貫き、そこから炎が燃え上がる。
「ストップ! 消さないと!」
慌てて俺の魔法で消そうとするが数が多すぎる。
「大丈夫……」
指をパチンと鳴らすと炎が一瞬にして凍った。
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