第3話 偵察開始

「こちらから偵察お願いします、まっすぐ行くだけで魔物らしき物を見つけたら魔法弾を上空に打ち上げて下さい……もし打ち上がった場合は近くなら応援をお願いします」

「へーい」

「………さっきから何なのよ、その態度……」

「お前だってその態度何だよ、似合わねぇぞ?」


 目の前のオリアナ・ハーウェストにそう言い返すと、彼女は頬を膨らませる。

 以前、依頼から帰る途中にハウェイと呼ばれる大鳥に襲われていたので助けてから何かと交流があった。


「これは仕事だから、仕方なく……」


 顔を真っ赤にして「も〜!」っといって顔を手で覆い隠す。


「この森はやばいのか?」

「……さぁ? わからないからお願いしてるんじゃない」

「そりゃそうか」

「それより止めるなら今のうちよ」


 確かに止めるのなら今をおいてない。

 もしも幹部にでも出逢えば、相手によったら生きては帰れないからだ。

 敵の幹部は全員で六部隊で幹部は他の魔王軍の中で別格、中でも第三魔王部隊のカルロスは出逢えば全滅する程の戦闘狂なのだ。

 

「大丈夫、それよりもう行っていいのか?」

「えぇ、開始時間は関係ないわ3日後迎えが来るからそれまで森を散策して」

「はいよ」

「ねぇ、これが終わったら時間ある?」

「縁起でもねぇ事言うな」


 どこかで聞いた話だと生死をかけた事に終わった事を言うと死亡フラグ?ってのになって死亡率が上がるとかなんとか……。

 冗談じゃない……。


「あ、うん……ごめん」

「それじゃあ3日後にな……」

「!? うん!!」

 

 そのまま歩き出す。

 森は暗くも明るくもない。

 樹木の間から光が差し込み、どこか神秘的な雰囲気の森だった。

 しばらく歩いて行くと、少し違和感があった。

 ここ、さっきも通らなかったか?

 短剣で木にマークをつけ歩く。

 しばらく歩くと先ほど傷をつけた樹木があった。

 魔法で無意識に避けてるのか?

 意識を集中する。

 こういう系の魔法はどこか入れる点のような鍵がある。

 これっぽいな……。

 魔力の渦みたいなものが見えたのでなぞると、空間が歪む。

 これはまた、よく隠せたものだ……。

 結界内に入ると扉は消えるだけでなく、渦自体がなくなっていた。

 一度使えば移動する型か……。

 こういうタイプは幾つか順番に扉があるので見つけるのには時間が掛かる。

 それに目の前を見ると、最近新築されたばかりなのか綺麗な小屋があった。

 明らかに怪しいよな……。

 そう思っていると目の前に少女がいた。

 身体はやせ細り今にも倒れそうな感じだった。

 ここの住人か?それにしては死にそうだが……。

 

「おい」

 

 ビクリと身体を震わせ、恐る恐る少女は振り返る。

 

「ここの住人か?」


 コクコクと頷く。

 

「他に住人は?」

「お…じい…ちゃん……」


 ようやく喋った。

 言葉を話すのが久々なのか、何処か言葉が拙く感じた。


「そのお爺ちゃんはいるか?」


 そのお爺ちゃんというのが術者である可能性が高い。

 情報を聞くのにうってつけなのだ。


「しば…らく…帰って…きて…ない……」

「暫くってどの位だ?」


 質問すると少女の可愛らしい小さな手で1と指を立てる。

 一週間か……。

 ぐぅ〜っとお腹の鳴る音が聞こえると、少女は顔を真っ赤にして俯く。


「ご飯、食べてるのか?」


 そう言うと少女は近くの古屋を指差す。

 食糧庫か……。

 小屋に行くと、何も無かった。

 正確には何かあったのだろうが、使い切って無くなってしまったのだろう。


「食うか?」


 ボケットから携帯用の食糧を見せるとパッと手に取りがっつく。


「まだあるけど食うか?」


 ポケットから出すが、首をブンブンっと横に振る。


「あり…がとう……」

「どういたしまして」


 そう言うと、僕の手を握り


「お礼…する……」


 どうやらなつかれてしまったらしい。


「いいよ、それよりお前のお爺ちゃんいつ帰ってくるんだ?」

「わか…らない……」


 聞くと大体長くても2日で帰ってくる筈なのだが帰って来ないのだと言う。

 結界を張ってるって事は生きているのだろうが……。

 

「なぁ、提案なんだが……」


 

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