過人

「また来るからね」

その『また』は訪れることは無かった

「近いうち行こう」の『近いうち』は来なかった

未来は訪れるか分からない


死別じゃないなら「いつか」はある

それがどんな形であれ

けど死に別れたならもう会えない

そんなの分かっていたけれど


日常の中にぽっかり空いたその穴を

代わりの誰かが埋めることは出来ない

「誰かが代わりに」なんて言わないで

君のその席は君でしか埋められない


春間際の晴天の過ぎ人を思う

思えばそういう別れからは逃げてきた

親しい人であれなんであれ

誰かの死に顔は寂しくなるから


失うだけが人生か

そうじゃないことは分かっているけど

そう思わせるだけ別れてきた

この心に空いた穴はどうすればいい

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