第7話 案内と紹介【その3】

えっちょっ


「(クソイケメンじゃねぇか....。)」


白い肌。キリッとした目や眉。そして高身長。まさに見た目からしてもザ☆クール系イケメンな人である。なんなんだ?この人達は俺を顔面で殺す気か??


「ああ、なに?もしかして新しく住む人?」


「えっ、い、いやあ....。」


「違うの?...君。名前は?」


「え、えっと、八百谷...です。」


「...名前だよ。僕がきいてるの。」


えっ何この人。シンプルに距離感詰めてくるじゃん。ちょっ、近いです。顔面を近づけないでください色んな意味で死にます。


「むっ、宗です!!や、八百谷、宗、です。」


「へえ〜...むーくん、よろしくね。」


む、むむ、むーくん!?


「(めっちゃ距離感詰めてくるじゃん!!!)」


「あ、出た〜!あいちゃんの気に入った人をあだ名呼びにする癖!」


「うるさい望。その呼び方で呼ばないで。」


「僕もそろそろあだ名で呼んでよあいちゃぁ〜ん!」


き、気に入った人...!?き、気に入った人...。嬉しい、のか??嬉しんでいいのだろうか。よくわからんなんだこのイケメンは。俺が男じゃなかったら惚れてる。


「えっと、この子は愛色姪いとしきめい!多分ここで1番顔面がいいよ!口数が少なくて、慥家といつも一緒にいるんだよ〜。ちなみに愛が名字で色姪が名前ね!」


え?なんだかこの中で1番マシな人じゃない???ねえ、絶対住んでるとこ間違ってるでしょ。


「...あれ、むーくん。」


「はい...?」







「...下のチャック、あいてるよ。」


......っ!!!?


「えっ、な、うそ...!!」


多分とてつもなく青ざめた顔をしている俺が急いで下を見ると....


「....開いて、ない...??」


開いてないですよ...?っていう意味を込め愛さんの顔を覗きこんでみる。


「...はは♡」


「っ...?!」


そこで見た愛さんの顔は...とっても紅潮させた頬をした...獣のような顔をしていた。


「いい顔してくれるじゃんむーくん♡」


「え、あの」


「この子すごいや。初手でここまで興奮するなんて...思わなかった♡」


じりじりと壁に追い詰められていく。


「あ、さっき下のチャックあいてるとか言ってごめんね...?あれはねえ...」


「うっそでえ〜す...♡」


やばい。混乱で、何も考えられない。壁まで追い詰められた。え??これ、俺まじで死ぬ...?


「...いい顔してくれてありがとう。」


え、戻った。は!?おい!!さっきのなんだよ!!バッチリ見たけど!!?おい!!!


「じゃあ、かわいい反応だった。また見せてね。」


「は、はいぃ...???」


そう言ってクールイケメン不審者は別のドアに手をかけた。は???いやなんなの??はあ???


「あー...どんまい、ブナくん。」


「いやいやいや!!?どんまいじゃなくてですね!!?助けてくださいよ望さん!」


「ごめんて〜。あいちゃんは絶望顔依存なの。」


「ぜ、ぜつぼうがおおお...?」


名前最悪なんですけど。


「うん。ちゃんとした名前はないけどどういうわけかあいちゃんは人が絶望してる瞬間、特に絶望してる顔が大好きなんだって。」


名前通りに最悪なんですけど。


「いやあ気に入られちゃったねえブナくん...。」


「いやもう最悪なんですけど!!!どうしてくれるんですか!!!」


「...ねえ、僕まだいるんだけど。」


あ。死んだ。まださっきの不審者イケメンさんまだいた。おわた。


「...僕はそう簡単に折れるほど、かわいくないよ?♡」


ひ、ひぇぇぇぇぇぇ。す、末恐ろしい...!!!


「...行くよ。いっくん。ぐずぐずしてるとすぐ置いてっちゃうよ?」


「えっ...!?ま、待てよおお...!!お、置いてかないで...!」


「...はいはい♡」


そう会話を交わし、慥家、という男とイケメン不審者の愛さんは2人でドアを開け、俺らの目の前から姿を消した。

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