第4話 ウェルカム依存軍
「(帰り道がない...!?)」
いや、いやいやいや、そんな馬鹿な。僕は信じないぞ!☆さて、後ろを向いてみよう。きっといつも通りの帰り道があるさ!
そう思い、振り返った俺の目に写ったのは、完全に出口という出口が塞がった、ただの壁があった。
「................なっ、んで....?」
さっきまで、後ろには通路が...、え?それじゃあ俺...
「(もう、帰れ...ない...?)」
「わあ〜!だめじゃないかあ!勝手に後ろなんか見ちゃあ。」
「あ、あなたが、やったんですか...?」
「んゃ、違うよ。ここはなんだか不思議なとこでね〜。道がどんどん変わるんだよ。進んできた道も、帰りの道も。僕達住んでる奴らにとっては、もう慣れっこだし、皆自由に行き来できるけど。」
なるほどなるほど。これは本日2回目の詰みゲーというやつだな??そうなんだな?正直半泣きですよ。
「...帰らすわけ無いじゃん♪そんなに僕は優しくないよ?」
「..........っ!!」
「はは。そんなに睨まないでよ。君だって、今になって知ったことではないでしょ?」
「鬼かよ....悪魔かあんたは....」
「...褒め言葉だね。ありがたく受け取っておくよ。」
しばし俺は、このクズ野郎とじりじりと距離を縮め伸ばしてを繰り返し、警戒心丸出しでこいつを威嚇し続けた。しょうがない。もう知るか。本能的に脳が危険信号を発している。
「(いやもう誰でもいい助けてくれ...!!頼むから、なにか打開策を...)」
「___おい、どけクソ。」
「...ふぇえ?」
やべ。めっちゃくちゃ気持ち悪い声出た。今までで一番気色悪かった。てか誰だこの人。
「(髪めっちゃド派手だ...真っ赤。しかもピアスしてる....完全なヤンキーお兄やんだ...。)」
誰でもいいとは思ったものの、残念ながら中2の時にヤンキーにカツアゲされた経験のある俺は、ヤンキー、いや、全不良に対して莫大な恐怖感がある。
「おいてめぇ。まさかピカピカのド新参連れてきたのかよ。めんどくせえ。」
「まあまあ〜。みーちゃん以来でしょう?いいじゃん久しぶりに!」
なんだ。ヤンキーお兄さんと無慈悲野郎が話してる。あの〜...嫌な予感を言わせてほしい。もしや身内かこの人ら???
「ほらよ。買い出し。ったく、卵セールだからって俺をパシんなよ。」
ああああああ!!これ絶対身内だあああああ!!助けなんかじゃない!もってのほか!!
「(ていうか卵セールって...主婦かよ。)」
いやそうじゃなく!ああもう...ていうか顔いいなおい!なんだよ!!美顔ヤンキーて!!そこは頼むから俺より顔面偏差値低くあれよ!!
「おい新人。言っとくが、俺ぁよろしくする気はねーからな。」
いえこちらのセリフです。思いっきり叫びたいほどにこっちのセリフです。
「も〜〜。どーせ嬉しいんでしょ!ほら、早く家入ってったら。あ、ブナくんも入って入って〜。」
「え、え、」
いや待ってこんなの半強制じゃないか!
「(どうする...!?家の中に入ってしまった。てか広っ。金持ちかよ。)」
ここはとりあえず...従ってこの人らの家に一旦入ろう。もう、あんな逃げ道がない様を見せつけられた以上、俺に勝ち目もクソもない。
「(にしても広っっ。個性的なデザイン...。)」
赤がベースで、和風モダン的なスタイルの家の内装外装は、とても洒落ている。なんか悔しい。
「じゃあ、早速案内するよ!ブナくん!」
「いえ宗ですって。ブナは魚ですよね???」
「チッチッチッ、ブナくんよ〜。それをいうならフナ、でしょ☆」
「(っっうっぜえええええええええ!!!!!)」
何なんだこの人。人をイラつかせる天才なのかもしれない。
「...じゃあいいですよ!!ブナで!!」
「りょーかいっ!じゃあ、早速案内してあげよう!ここに住んでる子達の紹介もしないとね!」
「....はあ...。」
こうして、俺の奇妙な家めぐりが始るっぽいです。
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