第3話 なんと唐突な展開

「ん....?いや、ん???」


ちょ、パニック。説明プリーズ...!いや、なに言ってんだこの偽爽やかにっこり糸目野郎。いぞんぐん?なんですかそれは。ようこそて、おい。展開ついてけないぞ〜。ヘルプミーーーー。

おいにっこり糸目野郎。そっと俺を姫抱きからおろすな。こちとらパニックなんだわ


「自己紹介が遅れたね。僕はのぞむっていうんだ。よろしくね。」


いやよろしくねではなく。なんか意味不明だけどよろしくしなきゃいけない雰囲気じゃん。そういう感じじゃん。


「君の名前は?」


それ言われて普通に言う人いるかね?少なくとも俺は言わないよ絶対に。


「え?何?教えてくれないの??」


え、ちょ、圧が!!圧がすんごい!!やばい言わないと殺される絶対に殺されるうわああああああああああああ


「やっ、八百谷、宗ですっっ!!命だけは命だけは命だけは...!!」


「あははっ、ビビりすぎだって。まあ、いきなりごめんね。ちょっと説明しよっか。」


ちょっとどころかだいぶ説明してほしいんだけど。


「ここは『依存軍』のアジト?っていうかぶっちゃけ家だけど。まあ、複数人で住んでるシェアハウスね。」


いえ、あの。


「まず、『依存軍』て、なんですか...。」


「ああ!言わないとだめだったか!」


いやだめだわ。全面的にだめだわ。よく話通ると思ったな。


「『依存軍』ってのは、なんらかに依存をしている人間の集まりだよ!」


へえ〜、なるほど全く分からん。危なそー。(小並感)


「あは。まあ、会ってみればわかるよ。」


「(会ってみれば!!?)」


会わせる気なのかよ!!!


「きょ、拒否権ってぇ...」


「ないけど?」


「ですよね分かってました。」


なんっ、なんなんだこの展開.....!


「(まじでなんなんだよこの人...!)」


「さてと、じゃあ、ここから先はタメでいいよ〜。僕もタメでいくから。」


あ、ここから先とかそういうラインみたいなのあったんだ。思っきし無視してましたよ。


「じゃあ、案内するね!ついてきて!ブナくん!!」


「あ〜はいは....ブナ!!?いや、違いますけど!!?」


なんだこの人いきなり人の名前を魚に間違えやがった....


「ああ、ごめんね!じゃあ行こっか!胸くん!」


「いやそれも違うから!!!宗です!!宗!!あんた人の名前覚える気ないだろ!」


「ええ〜?そんなまさかあ。あ、そういえばあ〜。」


なんですかなんですか。俺の名前はそういえばで流せる程度なのか。


「...足大丈夫なの?」


「え?」


....あれ、そういえば、痛くも痒くもなんともない.....。とかなんとか思ってたら、望、と名乗った男が腹を抱えて笑いだした。


「...あはっ、あはははっ!!もう限界!死ぬ!面白すぎぃ!!」

「あ、あのねえ...怪我してるとかそういうのね、ぜんっぶ嘘!!なのにあんなに綺麗に騙せるなんて〜!もう無理!お腹痛い!!」


....え???


「え、あの、嘘って、いやでも、たしかに血が....」


「あれ君のとこに近づいて僕がつけたの!君気が緩みっぱなしだったんだもん!」


つけたのは本物の血じゃないけどね☆とかなんとか言ってる望さんを俺はもう、なんというか、信じられない!というような目で見つめるしかなかった。

ちなみに信じられない!とは、とても悪い意味でだ。


「え、でも、痛みって...。」


「いやあれも嘘。現に君、全く痛くなさそうじゃん。」

「あれは思い込ませ。そうなんじゃないの?って問いかけることで相手にそうなのかもしれない...って思わせる心理現象ね。なんだっけ、バーナム効果ってやつだよ。」


ワッツ??え?いやいや、え??あれ全部、俺の思い込みだったってこと??


「正直言って痛みまで思い込ませることはやったことなかったから、半分ヤケでやったんだけどねえ〜〜....ブフッ」


言葉の最後に吹き出すと、望さんはまた大笑いをしだした。ええ、もういいですよ。存分に笑ってください。流石に、俺も俺で大馬鹿者でしたよ。ええ、もう笑っていただけたほうが吹っ切れられるんで。あークソ恥ずかしい。


「ああ、ごめんねごめんね。いやつい、面白すぎて、じゃあ、早速我が家に入ろっか!」


あ、もう入ることは決定されてる。いや、待てよ??怪我をしてない、と分かった以上、これもう逃げることが可能なのでは?


「(そうだよ!隙を狙って、さっさと逃げてしまえば!!)」


「あ、逃げようってのももう無駄だからね?」


「(いやだからエスパーかよ!!え?てか、無駄ってどういう意味だ。)」


気色の悪い笑みを浮かべながら、いやあ〜そんな訳ないじゃあないですか〜。やだなあもう!とか言ってる俺を尻目にし、望さんはわざとらしく言った。


「いっやあ〜!だよねぇ!逃げちゃったらどうしようかなって思った!あ、でも、家の前まで来たのなら、もう逃げ道も帰る道もないけどね!」










「...............んぇ...?」






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