隙間

katsumi1979

第1話

1年は長かった・・・。

私はようやく彼と同じ大学に入学することが出来た。

でも彼は私が声をかけても全然振り向いてくれない。

この仕打ちは何・・・?

「そうか、ずっと無視なんだ・・・」

「うん・・・全然私のこと振り向いてくれないんだ・・・」

「あんたそれ心当たりないの?」

あるけどそれは友達には言えなかった。

彼が東京の大学に入学が決まり、東京へ出てしまうその前日のことだった。

 

彼から私に身体を求めてきた。

私は彼が好きだったからそれに答えた。

しかし、いざ行為になったときだった。私の中を挿入する前に、少し彼のモノを触った時だったなんと彼は射精してしまったのだ・・・。


それ以来、彼はそれを気にしてか、私と関わるのを徐々に避け始めた。

そして連絡も月日が流れるたびに途絶えられてしまった。

こんなに彼のこと好きという気持ちがあるのにそれを引き裂かれるような

この想い・・・私はそれに苦しみながら、1年もの月日が流れてしまった。


◆◆◆


私は飲んでいた。せっかく彼と同じ大学に入学したというのに全然振り向いてくれない。

もう二度と彼は私に話しかけてくれないのだろうか?

ずっとこれから先も無視され続けられてしまうのだろうか?

耐えられない・・・。そんなの耐えられない。

私は自分の気がおかしくなるのを紛らわすため、たくさんのお酒を体内に流し入れた。

しかし、どんなにお酒を飲んでも心の中のすっぽりと空いた穴は塞がらない・・・。

寒い・・・心が寒い・・・。彼の身体の中に温まりたい。

気が狂いそうになった。

例え他の男と身体を許しても、心まではそれを受け入れてくれないだろう。

私は心の寒さが涙となって表れてしまった。

そして私はお酒の飲みすぎで道ばたに倒れてしまった。

「お嬢さん大丈夫?」

声をかけてくれた人はオカマ風の人だった。

私はその顔を見たら取り乱した自分を我にかえした。

「何だか随分と酔いつぶれてるわね。サトミちゃんちょっと手を貸して!」

 

私はサトミという人の顔をみて言葉を失った。それは私がずっと想っていた

”彼”だったのだ。彼も私の顔を見て驚いている様子だった。

まさか彼がオカマになっていようとは・・・。

そういえば、思いたる節がある。彼は私と一緒に街を歩いていたときいつも

変なこと言っていた。

「女性っていいよなースカートはけて」と彼は言っていた事を私は記憶している。


まさかとは私は一瞬思ったが・・・。それが現実になるものになるとは・・・。

私はわけが解らなくなり、その場から走り去った。


◆◆◆


走っていくうちに自分でも今どこにいるのかだんだんと場所を把握出来なくなった。そしてまたフラフラとなり倒れそうになった。


「お姉ちゃん、随分酔ってるねぇ、おじさんが送ってあげようか?」

「や・・・やめてよー」

私はそのおじさんを振り切ろうとした。

「そんなこと言わずに送ってあげるよ」

すると、目の前に赤いワンピースを着た可愛いお姉さんが現れた。

「あーら、そこのあなた!」

おじさんはその赤いワンピースを着たお姉さんに釘付けになっている。

「な・・・なんですかお姉さん?」

すると赤いワンピースを着たお姉さんはそのおじさんに回し蹴りをした。

「ぶえっ!」

見事顔面にヒットした。

「俺の女に手を出すんじゃねぇよ!!」

そう言い放ち、酔いつぶれいる私をおんぶして赤いワンピースのお姉さんはその場を去った。

 

私が気づいたときはビックリした。赤いワンピースを着たお姉さんは彼だった・・・。

「やめて離して恥ずかしい!」

「じゃあ俺の話聞く?」

「聞くから放して!」

彼は公園のベンチで私をおろし話し始めた。

「気になるよなどうして俺がオカマになているのか。最初は生活のためにやったというのが理由だが、でも本当は・・・女の子が知りたかった。俺は女の子が好きだよ。でも女の子のその・・・気持ちや考え方をもっと知りたかった」


「なにそれー! 女の子好きな人がオカマバーに勤める普通?」


「あ、いや・・だから・・・。俺はあのときお前としたとき・・・

お前はその時、言葉には出なかったけど俺はお前の表情をみて本当はそういう行為好きじゃなかったのかなとか、嫌がられてるんじゃないかと思ったんだ。


俺の中でそう思っていると何だかわけわかんなくなっちゃって女装には抵抗なかったし、女の子の気持ちを知るにはこれが一番かと思った。

だけどバイトしているうちに今度は男としての自信が次第に薄れてゆくのを感じた。

そして自分が情けなく感じてとてもお前を守れる力なんてないように思えて

それで俺はお前に会わす顔がなかった」


「そんなことない・・・。私あの時からずっと好きだったんだよ!

今も変わらないよ。それにあなたは情けなくなんかない!

さっき私を助けてくれたでしょう。とても男らしく感じたよ」

それから私は彼を私の家に招いた。

 

「私、ずっと待っていたんだよ。一人でいっぱい考えて一人で慰めて・・・」

「大丈夫だ。もうお前を一人にしたりはしないから。これからはずっと俺と一緒だよ」


「う、嬉しい! きて・・・」

「い・・・いくよ」

そしてその夜、私と彼は1年分の隙間を埋めるかのようにお互い濃密に抱き合った。

今度はうまく挿入だってできた。萎えることなく私たちと繋がれたのだ。

これで一件落着思え、彼も男としての自信は取り戻せていると言っているが、女装が趣味というのが玉にキズ。やっぱり彼には普通の男の子に戻って欲しい

と思います。ここ最近は、私と会うとき平気で女装してデートに来る。しかもほぼ違和感がなく私と街を歩くようになってるし・・・


それに化粧も私より上手いから・・・。

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