第32話
「ねぇ、
休み時間、璃奈ちゃんのフォローを達希に変わってもらって私は親友の
「はいはい、いつまでたっても進まない恋の相談ねー」
私は、光のことを信頼しているから彼女に対しては基本隠し事はせずいろんなことの相談に乗ってもらっていた。
そして今もまた相談しているところだった。
「その言い方はひどくない!?」
「六花が自分で招いたようなもんでしょ」
言われてみればその通りだった。
璃奈ちゃんが学校に来るきっかけの一端をきっと自分も担っているのだろう。
「それは、そうだけど……あの二人ほっとけないし……」
「正確には、あの二人がくっつくかもしれないから黙って見てられない、でしょ?」
小学校のころから仲良くしていた光には、私の心は大概お見通しなのだ。
「そうやって言葉にされると恥ずかしい」
「そんなんだから、いつまでたっても進展しないんじゃないの?」
それはそうだけど……。
でも、好きって言葉は向こうから言って欲しい。
「光がひどいこといってくるー」
光に、はいはい背中を叩かれ雑に慰められた。
「そういえば、ゴールデンウィークは鮎川君と何かしないの?」
光から見ても、ゴールデンウィークは狙い目なのだろう。
むふふ、そこには既に予定が―――――
「うん、キャンプ行こうって話をしてあるよ」
「お、やるじゃん。他には誰が行くの?」
「えっと、達希君と達希君の妹の
そう言うと、光はため息をついた。
「本当に、関係を進める気があるの?」
「なきゃ、誘わないよ」
「じゃあ、どうしてそこに
璃奈ちゃんがまともに話せるのは、私と達希君ぐらいだし――――しょうがないじゃん。
私の考えを察したのか光は
「そういうところで非情になれないことが恋の進まない一つの原因なんだよね」
と言って笑った。
それに達希君しか誘わなかった場合、もしかしたら璃奈ちゃんが再び不登校になってしまうかもだし、ならなかったとしても、璃奈ちゃんの達希君へのアピールが加速するかもだし―――――それらを考慮したうえでの選択だったのだ。
「そういう、六花の優しいところ好きだよ」
何気ない様子で、さもそれが当然のことだといった様子で光はそう言った。
「やだ、照れちゃうじゃん」
「百合は、生産性ないよ?」
「いや、相手が光でも百合展開は流石にないから」
「冗談だよ」
二人でひとしきり笑い合った。
光に至ってはお腹を押さえて笑っていた。
「そろそろ戻ろっか」
光がこちらに腕時計を見せた。
次の授業の開始までにはもう2分もない。
「聞いてくれてありがとう」
お礼を言った。
「人に話して楽になるんだったらいつでも話してくれていいよ」
すると光は、そう言いながら親指を立てた。
「やっぱり、持つべきはいい友達だなって」
こうして悩みを相談できて笑い合えるんだから良い友達って言うのは、本当に大事。
「やだ、照れるじゃん」
わざとらしく恥じらう姿勢を見せた光に
「この流れ、もう1回やるの!?」
と、私は笑いながら返した。
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