第19話 好きな人、いる?

 璃奈さんからのメッセージを読んで、メッセージアプリを閉じた。

 彼女は、来週から学校に来ることを決意したらしい。

 僕自身の意思とは、関係なく学級委員になったからには、なるべく多くのクラスメイト達に笑顔でいて欲しい。

 その中には無論、璃奈さんも含まれている。

 彼女のことだから、きっと今まで自分の思いや希望は周りに伝えずにいただろう。

 そんな、彼女の明確な意思だ。

 これは、尊重されるべきだと思うし尊重するべきだ。

 だから僕は、一緒に行きたいという彼女の希望を了承した。

 一応、六花にも伝えておくべきか……。

 一旦閉じたメッセージアプリを開いて、六花とのトークの画面を選択する。

 

 『璃奈さん、月曜日から学校に来るそうです』


 端的にそう送った。

 少し、淡白すぎたかな……何かほかにも伝えるべきか?

 と、考えていると既読が付き返信が返ってきた。


 『了解!! それはいいね!! でも高校には一学期始まってから来てないでしょ?何かフォローしてあげなきゃね』


 確かにそうだ。

 多分、いろいろと璃奈さんは不自由するだろう。


 『そうだね、僕らで彼女にできることはなるべくしてあげたいね』

 『そうね、具体的なことは実際来てみないとわからないから、そのときそのときで臨機応変に対応してこ!』


 臨機応変か……璃奈さんに少し気を配る必要があるな。

 伝えることは伝えたのでスマホを手放した。

 するとバナーに、一件のメッセージが表示ざれる。

 

 『これで会話終わり!?』


 むぅ〜といった感じの可愛いスタンプが添えられている。

 

 『伝えることは伝えたからそのつもりだった』

 『はぁ…そこはほら、話題が変わってでも話を続けようよー』


 電話じゃない時は、長引いたら相手に失礼かもしれないのでいつも伝えるべきことだけを伝えて終わりにしている。

 エンドレスになったり、時間をロスしたりしてしまうからだ。


 『そういうものなの? でも、これといって話題もない』

 『そういうものなの!! ん〜話題かぁ……』

 

 そこでメッセージの間隔が少しあいて、

 

 『ねぇ、突然だけど好きな人いる?気になってる人でもいいよ!!』


 と送られてきた。

 話題が変わってもいいって言ってたけどこれは、変わりすぎだと思う。

 脈絡も何もない。

 好きな人か……いないな。


 『とくにはいないかな』

 

 へぇ〜と言いたげなスタンプが押された。


 『そうなんだ、これから作ろうね!! なんてったって短い青春だよ!!』


 高校三年間が青春といっても受験が控えているからその実は、一年半か二年かそこらだ。

 仮に、できたところで玉砕する光景がありありと思い浮かぶ。


 『変なこと聞いちゃってごめんね。私も特に話題無かった。また、月曜日ね』

 

 六花の方にも話題はなかったらしい。


 『うん、またね』


 そこで会話は終わった。

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