第3話 ばいばい

7月7日。


僕はまたあの駅に向かった。

そして君を待った。


「お待たせ!」


そう言い君は僕の顔を覗き込んだ。


「じゃあ、行こっか」


僕達は向日葵畑に向かった。


向日葵畑の中に君が立っていた。

僕は思わず可愛い。と言いそうになったが慌てて口を閉じた。


君は向日葵のような眩しい笑顔で僕に話しかける。


どの向日葵よりも、どの花よりも、君が1番綺麗だ。


僕は美しくてどこかに消えてしまいそうな君を見ながらそう思った。


君に触れると君は消えてしまうそんな気がした。


そして君は言った。


「今日は七夕だよ。何をお願いするの?」


「そうだな。このままの日がいつまでも続きますように。かな」


「続くと良いね」


そう言った君の顔は何故だか少し寂しそうに悲しそうに見えた。


「次はどこ行く?」


「奈美はどこに行きたい?」


そう聞くと君は笑顔でこう答えた。


「夏祭り!私花火見たいな」


「じゃあそうしよう!」


僕は次の予定が決まり浮かれていた。


7月10日。


僕はこの日君に思いを伝えようそう決めていた。


浴衣を着た君が僕の隣で歩いている。

それだけで僕は幸せ。

だけど、もし、君と付き合えたら____


なんて考えていると


「花火綺麗だね」


そう君が言った。


花火と同じように君も儚く散ってしまう、そんな気がした。


「あのさ、伝えたいことがあるんだ」


「私も」


君は鼻を触りながら続けてこう言った。


「ごめん、もう和人とは会えない」


僕は君に告げた。


「そっか。僕、奈美の事が好きだったよ。じゃあね」


君は帰ってしまった。


君の後ろ姿が僕の目にぼやけながらうつった。

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