優音の話
木乃香の遺書
優音くんへ。
これを読んでいるという事は、私はもうこの世にいないという事だよね。
こういうのって、本能っていうのかな。なんとなく、私は娘を産んだら役目を終えるんだと思っていたんだ。こんな事言ったら、優音くんはやっぱり出産はやめようなんて言い出しちゃうかなって思ったから、言わなかったの。ごめんね。
さて、ここで本題に入ります。優音くん、一人で子育てをするのは簡単じゃないよ。私もね、お母さんが直ぐに死んじゃって、ずっとお父さんが育ててくれていたから分かるんだけど、お父さんいつも忙しそうだった。私のお世話もしないといけないけど、その為にお金を稼がなければいけない。とっても大変そうだった。
だからね、優音くん。誰でもいいの、あの子がお母さんと呼ぶ相手が他の女の人でもいい、あの子に母親を作ってあげて。私は、浮気だなんて言わないから。
あ、だけど、少しは嫉妬しちゃうかもな。なんて、こんな頼みごとをしておいて言えた事じゃないんだけどね。
心音をよろしくお願いいたします。
最後に、大好きだよ優音くん。
貴方の最愛でありたい、木乃香より。
手紙にはそう書かれていた。
僕はその手紙を静かに引き出しに戻し、妻が死んだ事を改めて理解した。
鍵付きの引き出し。娘が産まれた喜びと、妻を亡くした悲しみがごちゃごちゃになっていた僕に、助産師さんが渡してくれた鍵は、ここを開くための物だった。
木乃香さん。解ったよ、それが君の意思なら。僕は、この子の母親を探そう。だけど、いるかな。こんな理由で僕と一緒になってくれる女の人なんて。
いいや、なんとしてでも探さなければ。それが、木乃香さんの意思だから。
木乃香さん、大丈夫。だから安心して眠っていてね。
大丈夫、僕の最愛の人は、いつになっても君だから。
どうも、美少女(笑)です! 物語創作者□紅創花優雷 @kuresouka
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