傍観者
……あぁ、あなたですか。
えぇ、織姫です。先程、神に修一くんと修造さんを接触させたことがバレて一時間説教喰らいました。おかげで一週間彦星様と隔離生活ですよ、全く。感謝されてもされきれませんよ。
あなたも、心優しく美しい織姫様を称えてください。いや、そんな冗談はどうでもいいのですよ。
しかし、かつては一年に一度しか会えなかったので、一週間くらいであれば痛くも痒くもありません。……すみません、嘘をつきました。痒くはあります。悲しい事には変わりありませんから。
愛しの人と会う事が出来ない、それはとても辛い事です。あなた方には分からないかもしれませんが、とても、痛い事なのです。
あなただって、あの人と同じ観る事しか出来ない傍観者。ただ見るだけで何も出来ない。介入も、口出しも敵わないのです。しかし、それでいられるのはあなたが赤の他人だからです。
大切な存在の姿を見る事が出来ても、言葉を交わせない。少なくとも、私には耐えられません。
だから私は止めたのですよ。守りたいもの、大切なもの、それを保つために己の命を犠牲にして、そして言葉も交わせぬというのになぜあそこに留まるというのです? 私には分かりません。
しかし、結果的にあのような面白い物を見れるのであれば、得であったのでしょうね。サラダボウルハーレム、滅多にお目に掛かれませんよ。
さて、修一くんの心を得るのは誰なのでしょう。まぁ、あの感じですと結論が出されるのは大分先でしょうが。一歩前進は出来たようですね。
直ぐに答えを出すのは難しいなんてレベルじゃありません。ま、あなたからしたら良く思わないかもしれませんね。告白をされて答えを出さずに放置して、相手達の争奪戦を楽しんでいるのですから。
だけど、ハーレムモノなんて大抵そうでしょう? いや、知りませんけど。私には彦星様という最愛の方がいますから、そう言った乱交モノは見る理由がありませんので。
ですが、私が気になるのはそちらではなく――
いいえ、何でもありません。世の中には知らなくていい物というのがありますから。
私が何を言っているのかが分かりませんか? それならそれでいてください。これまで出てきた自己規制の中身も、分からないのであれば分からないでいいのですよ。
……おや、もうお帰りになるのですか。
それでは、さようならですね。最後の挨拶が私ですみませんね。如何せん、あなたを認知出来る者のは本当に少ないものでして。
あぁ、そうだ。最後に一つだけ忠告を。
あなたの性癖がノーマルであるのであれば、
美少女には、気をつけなさい。
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