紅羽 紅葉
作・月風 瑠風
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登場人物紹介
紅羽 紅葉 女性 18歳
秋浦 朝陽 男性 18歳
──────────────
朝、小鳥たちのさえずりが聞こえてくる時間帯、私はいつも夢の中…なのだが、今日は少し早く目が覚めてしまった。
家族はまだ寝ているので静かにリビングまで行き朝食の準備をする。
______ところを使用人に見つかってしまう。
「お嬢様、朝食の準備は私奴がしますので、どうぞソファにかけてごゆっくりなさってください」
こう言われてしまっては正直返す言葉がない。これぐらい一人でできるといつも言っているのだけれど…
「これくらい自分でできるのに…」
思わず口から漏れてしまうが、使用人は聞こえないふりをしている。
しぶしぶ、いわれた通りにソファでくつろいでいると、家族が続々と起きてきた。
父親は自分専用の椅子に座り新聞を読んでいる。母親は使用人と並んで朝食を作っていた。
私は、テレビをつけニュースを見ていた。今日は晴れのち曇り、ところによりにわか雨が降るらしい。
使用人が朝食の支度を済ませ、机に食事を並べ始める。私も席に着き、大きなお皿に入った生野菜のサラダを自分のお皿にとりわけ、家族の準備を待つ。
全員の準備が終わると、父親が食事への感謝を込めたありがたい言葉を5分ほど聞かされる。
(せっかくのご飯、冷めちゃうよ…)と、毎日思いながら聞いている。
そして、家族と他愛もない話をしながら朝食を済ませ、自室に戻る。学校まではまだ時間があるので、空いた時間は基本的に読書をしている。学校に行く時間になると使用人が呼びに来るので落ち着いて読める。本はいろんなことを学ばせてくれるから好きだ。そうして、ゆっくり本を読んでいると使用人が呼びに来る。
私は荷物を持ち、車まで行く。ここまでが私の朝のルーティーンだ。
学校までは、紅羽家専用のリムジンで送り迎えをしてもらっている。
正直こんな派手な車で毎日学校に行くのは恥ずかしかったりする。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
学校に着くと、生徒会のメンバーが出迎えてくれる。私も相当早くに来ているというのに、私よりも早く来て出迎えまでしてくれるなんて本当にみんなしっかり者で助かっている。
特に副会長の秋浦 朝陽(あきうら あさひ)くんは車の前で待機しており、私が車から出ると荷物を持ってくれる。そのせいか、周りからは「生徒会長の専属執事」なんて肩書がついているらしい…
うちの使用人も一目置く仕事ぶりに、正式に雇ってもいいんじゃないかという話を使用人が父親にしているところを数回目撃している。
まだ学生なのにうちの使用人に認められる程優秀な彼を差し置いて、なぜ私が生徒会長なのか、いまだに納得できてない。確かに成績は私の方が優秀だけど、生徒会の仕事も私の分までやってくれる。おかげで私は勉強に集中できる。
朝陽くんはいつも「会長の手を煩わせるような仕事ではありません、僕に任せてください!」と気づいたら私の仕事をしている。なので、私はいつも生徒会室で勉強をしてるだけだった。でもまぁ、生徒会での仕事に問題が出たときは私が対処している。
この間も、野球部とソフトボール部のグラウンド使用日がかぶっていて問題になった。
いつも交互に使用してもらっているのだが、野球部の試合が近くなると野球部に優先して使用許可を出している。
しかし、ソフトボール部も練習試合があり、どうしても使いたいということだったらしいが、結局生徒会役員の把握ミスによりダブルブッキングとなったのだ。
ソフトボール部は普段、野球部が試合で学校のグラウンドを使うときは河川敷でトレーニングしたり、市の管理するグラウンドを借りたりしている。
しかし、天ノ川学園は超エリートが通う学校。その為市の管理する普通のグラウンドとは比べ物にならないくらい道具や設備が整っている。それなのになぜ、野球部とソフトボール部で2つグラウンドを作らなかったかと言うと、創設者が野球部とソフトボール部は一緒に仲良く練習できると思っていたかららしい。
脱線してしまったので話を戻そう、当然その日は学校のグラウンドを使えると思っているので、グラウンドの予約などしていなく練習場所がないというクレームが入りその対応をしたのだ。
生徒会室まで押しかけてきている訳だから、私が対応せざる負えないというだけの話だが…
普段は仕事を全部朝陽くんがやってくれるので楽できているが、こういう対応をしないといけないのはやっぱり面倒くさい。(この対応の方を朝陽くんがやってくれたらいいのに…)といつも思っている。
そんなこんなで学校が終わり、迎えが来る。
迎えもやっぱり紅羽家専用のリムジン、あんなでかい車が学校の正門の前を陣取る訳だから、目立たないわけがない。
恥ずかしいという気持ちを押し殺しながら毎日車まで歩いていく。この時ももちろん荷物は朝陽くんが持ってくれる。
なぜだろうか?今のうちに媚を売って将来雇ってもらう為…とか?
車に乗り込み荷物を使用人が受け取る。
荷物を置き使用人が運転席へと乗り込み、車が動き出した。
窓の外ではいつも朝陽くんが笑顔で手を振っている。最初のころは私も返していたのだけれど、車の中は見えていないということに気づいてからは微笑みながら眺めているだけだ。
「よくもまぁ、飽きないわね…」
家に帰ると、母親が出迎えてくれる。
そして、晩御飯の話をしながらリビングへと連れられる。
その時決まってこう言われる「紅葉も将来私みたいなお料理の上手な立派なお嫁さんになるのよ!」っと...
それならわたしにも料理をさせてくれ...と思いながら聞いている。
今日の晩御飯は父親の好きなハンバーグステーキだ〜!と上機嫌だ。
ハンバーグを作るといつも父親は「うまいうまい」と言いながら食べるので、母親も上機嫌なのだ。
最近は作っているときからすでに上機嫌になっている、微笑ましいことだ。
部屋に戻ると、決まって私は授業の復習をする。
とは言え、高校生の範囲は小学生の時にすべて家庭教師に教えてもらっているので問題ないのだが、
忘れていた場所や新たな発見などもあるので、毎日欠かさずに行う。
復習を終えるころに決まって使用人が呼びに来る、夕食の時間だ。
夕食も家族全員でそろって食べる。
会話に花を咲かせつつ、夕食をして、お風呂に入り自室に戻る。
お風呂に入ると眠くなる体質なのか、すごく眠くなるのでベッドで横になるとすぐに寝てしまう。
うちの親はお金持ちで、生活には何一つ困っていない。日常生活のお世話は全てメイドがしていた。
しかし、親が決めた育児方針で昔から自分の事は自分でやってきた。特別扱いはされず普通に生きていけるように育てられた。使用人も必要最低限しか雇わず、母親から掃除や洗濯に料理、何から何まで全部自分でできて当たり前だといわれ育てられてきた。メイドさんも仲良くしてくれてすごく楽しかったし、ちゃんとできたら褒めてくれて嬉しかった。
厳しさの中にも愛を感じ、私も頑張ってそれに応えようと努力した。平凡なだが幸せだった。そして、何よりその生活が好きだった。
しかしそれは突然終わりを告げた。
私の生活は、「あの事件」から全く別物に変わってしまったのだ。
あの、忌々しい事件から…
あの事件は今も悪夢となり、私を苦しめる。
思い出したくもないのに、何度も何度も…
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
〜朝陽、自室〜
今日もしっかりと業務をこなし、会長に一歩近づけた気がする!...だが、会長は何か隠してる。
そう感じた。
いつも真面目でみんなに優しい会長。
しかし、僕は見てしまった。
窓際で悲しい顔をしている会長を...
あんな顔をしている会長は初めてだった。
何かあったのだろうか?明日聞いてみるか...
しかし、聞いたことによりトラウマに触れてしまったらどうする?
...ダメだ、僕には聞けない。
下手に手を出して会長を傷つけたくはない。
うん、僕は影から支えていればいいんだ!
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
〜紅葉、自室〜
最近私は、よく悪夢を見て目を覚ます。
そのせいでずっと寝不足だ。
気がついたらぼーっとしている事が多くなった気がする。生徒会の仕事はミスばっかり、授業だって上の空で、テストだってまともに点数をとれない。
朝陽君がいなかったら、私は全然ダメな普通の学生だ。たくさん勉強して予習して、なんとか1番をキープはしているが、それもいつまで続くか...
スーパーエリートなんて呼ばれてるけど、正直名前負けしている感が否めないし、プレッシャーもすごい。
正直、全部投げ出して普通の女の子に戻りたい。
最近私は、朝陽君の事を思い出すと落ち着くようになっていた。
「朝陽君...私、もしかして...」
また1人、コーヒカップに乗り込んだ。
それが目ばぐるしく回り出すとは知らずに...
恋する乙女とコーヒーカップ 月風 瑠風 @ruhu0103
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