また明日/揺蕩う秋/愛の飛沫
ねえおじさんたちさ、あんた方がなんとかしないで、
この世界をなんとかできるのかい?
俺たち若い奴らにぜんぶ任せるつもりなの?
ねえおばさんたち。ぜんぶ僕らのせいかな。
なあ、俺たちの苦しみは誰にもわからないぜ。
きっと俺たち自身でもわからないんだ。
互いに分離してるからさ。
弥勒菩薩は寝坊助さ。
だって何億年も後にこの世に来るんだろう?
その前に地球が壊れちゃうよ。
だって悪い人たちがピカドン。
核爆弾を打っちゃうからさ。
だっていい人たちがみんな死んでくからさ。
みんな自殺しちゃうんだ。
みんな苦しめられてるよ。
何かは知らない。
けど苦しいんだ。
生きてるのがさ。
息をするのがさ。
足を動かすのがさ。
起きるのがさ。
なんでこんなに辛いんだろうね。
誰も救っちゃくれないよ。
自分以外は。
ねえ、みんな、叫ぼうよ。
どうしてこの世界はこんなんなんだってさ。
どうして心はこんなに苦しいんだってさ。
どうしてみんなこの星を虐めるのかってさ。
どうしてみんなゴミを捨てるの。
僕はゴミじゃないよ。
俺たちはゴミじゃないよ。
そうさ、星の欠片さ。
カッコいいだろ。光るんだぜ。
この宇宙のすべての太陽を集めたって、
この心の光には勝てないぜ。
みんな、寄っといで。
この光で焚き火をしようよ。
近所のおばさんが言ってたよ。
苦しい時はナンミョーだって。
そんなブツブツ唱えて何になるの?
呼吸が深くなるよね。
瞑想効果っていうの?
とにかく走る方が、俺には合ってる。
知らないけど、
この星に若くて苦しんでる人がいるなら、
僕らは一緒さ。
焚き火の細やかな光が、
僕らの頬を赤く染めるとき、
僕らは静かに微笑むんだ。
なんでかって?
そんなの秘密さ。
でも特別に君だけには教えてあげる。
嬉しいからさ。
だって僕たちこうして出会えたじゃないか。
一緒に火を囲める。
それだけで嬉しいんだ。
何者にもこの心は奪えやしないぜ。
そうさ、この心は、
この心だけは僕らのもんだ。
温かい火が照らすよ。
僕たちの夜明けを。
ねえ、何だか気分が軽くなってこないか?
ねえ、今いくよ。
ねえ、君はいま笑顔かな?
ねえ、太陽はいつまで輝いてるのかな。
ねえ、この星はいつまであるのかな?
ねえ、恋人ってそんなに要るの?
ねえ、独りってそんなに悪いのかな。
なんだか、こんなヒトリゴトってないよね。
あの人の心の火が、僕の心に飛び火したんだ。
移り火だね。
心の灯りはボーボーさ。
あといくら燃え続けるんだろう。
僕らの寿命はあとどれだけ?
生きてるだけで丸儲けって偉い人が言ったよ。
ならお金ちょうだいよ。
だって冬には野草は食べれないから。
みんなが野草を食べ始めたら、絶滅しちゃうよ。
また戦争するんだ。
食べ物がないから。
また争うんだ。
食べ物がないから。
また戦うんだ。
希望がないから。
明日のことなんて知らないよ。
僕は今日死ぬかもしれないんだから。
でも気にしないで。
葬式の費用は用意してるから。
太陽がグルグル周って、
ぜんぶが真昼になったとき、
弥勒菩薩は目を覚ます。
偉そうに寝そべりながら、
願いを聴いていくんだ。
そうしたら、また眠りやがった。
コイツは本当に救う気が有るのか?
そうしたら、カッと目を開いてさ。
なんで怒るのって。
君が僕を知らないからだ。
一人ですべてを救うには荷が重すぎる。
ねえ、みんな手伝ってよ。
地涌の菩薩になってよ。
知らねえよ。
ほっといてくれよ。
この千年間、知らんぷりしててさ。
どれだけの人が死んでいったと思うのさ。
もう弥勒菩薩なんて信じないよ。
ちゃんと働けよ、神さま。
オオミナカミのミヲヤカミ。
ああ、南無妙法蓮華経。
これ、なんて読むんだっけ。
ああ、ナンミョーホーレンゲキョー。
おお、南無観世音菩薩。
オンアロリキャソワカ。
宗教なんてもう嫌だ。
僕は僕の信じたいものを信じるだけさ。
それが僕の道。
ちぐはぐだ。
もう僕の心は壊れた。
だってそうでしょ?
君を想えない心なんて要らないよ。
これだけは言わせてよ。
君は愛されてるよ。
君を愛してる。
少なくともここに一人。
ここに一つの愛があるよ。
ほら、持っていきなよ。
この愛は果実だから。
素直にかじるといいよ。
きっとほんのりと甘いはずだから。
みかんの味と金木犀の香り。
もうすぐ秋だね。
銀杏香るその黄色。
路面を覆って黄色に染め上げるんだ。
八王子のあの道を歩いたことがあるかい?
真っ黄色になって、プチプチと弾けて臭うんだ。
あのタンメン屋にまた行きたいね。
コーラを瓶で頼むんだ。
僕の人生ってなんだったんだろう?
きっと虹色。
鈍色が多いけど。
でも同じ虹なんだ。
あの夜空の虹。
オーロラの駆ける星。
きっと星の子も笑うよ。
僕らの人生は面白いじゃないか。
だって、わざと辛い思いをするように設計図を書いて産まれてきたんだよ。
その方が死ぬときに嬉しいから。
だって、こんなにも乗り越えられたんだよって。
みんなに背中で語りたいよね。
マ、死に顔で語るんだけどさ。
誰も俺の死に顔を見ないでよ。
そこに俺はもう居ないからさ。
じゃあまた明日。
気張ろうぜ。
せいぜい、この日この瞬間だけは、生き延びてやる。
そう思ったんだ。
じゃあまた明日。
そう言えば会えるから。
魔法の言葉さ。
じゃあ、また明日!
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藍青く 紅燃ゆる
もみじ葉の 揺蕩う秋は
京の秋 こころは熱く
水静か 太陽燃えて
日は巡り 景色は変わる
清流は どこまでも行き
河の見目 麗しきこと
儚げや 蝶の飛沫に
遊ぶこと この世の終わり
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さざめく波の 水しぶき
絶え間ない波 打ち寄せて
我は黄昏 一人居て
女波乗り 波に乗り
削ったアイス のよな波
呑まれて浮かぶ 一人の子
儚きことは 絶え間なく
打ち寄せる波 感情は
愛の飛沫に 弾け飛ぶ
詩集 巻一 @kevin3ogino
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