夏に地獄を見る



夏の夜長に地獄見る

瞳の色は緑色

地獄の色は赤に黒

血の川流れ亡者の音

盲(めしい)は溺れ声途切れ

赤の流れる地の底よ

番人曰く日に万は

亡者来たりて沈みゆく

ここは血の川地の底よ

ふと目を覚ます夏の朝

汗にまみれて息を吐(つ)く

耳を澄ませば蝉の声

鳴き止まぬその歌声に

気を狂わせて水を飲む

血の味がして川思う

沈みゆくその亡者たち

罪業重く許されず

何度も溺死してもなお

許されざるは人殺し

恐喝不貞詐欺受け子

何ゆえ罪を知ってるか

ただ聞いただけ番人に

松明燃えて移り火の

俺の心の祈る声

どうかその刑許されよ

閻魔大王怒り顔

こんな奴らは一度二度

死んだ程度で反省は

微塵もしないと説教す

斯くも厳しき地の底よ

我に返りて窓を見る

竹林茂り蝉の声

窓を開ければ夏の風

肌を刺す日の強烈な

光を浴びて肌焼ける

スイッチ押すもエアコンは

反応無くて俺笑う

冗談じゃねえこんな日に

エアコン壊れ一人蒸す

自宅サウナのありがたみ

知るか、んなもん我怒る

家を出てさあコンビニへ

冷えたジュースを買いに行く

扉くぐると天国や

飲み物選びさあレジへ

がさごそと見るああ俺は

財布を家に忘れたな

ごめんなさいとポツリ言い

走って帰る夏の家

火宅の財布諭吉笑み

くしゃっと曲げるその顔を

仕切り直しだまた走る

氷とジュース買いまして

帰路に着く時鳴き出した

一羽のカラスその黒は

きっと吸光しまくって

熱いのだろななんてこと

同情してはまた帰る

こんな夏の日脳内は

思い出すのはオレンジの

金木犀の香りだぜ

オーデコロンの蓋開けて

時を駆けてく嗅覚の

記憶連想秋の日や

もうそろ夏も終わるだろ

今年は何でこう暑い

倒れ伏す人数知れず

何ゆえかとは問うてみる

青の湖手に収む

忍野八海山梨に

思いを馳せて間を測る

視点は移り富士山へ

その雪の色真っ白で

時間は弾け彷徨うは

一人ぼっちのこの俺さ

やがてどこにも居場所など

無くなり一人立ち尽くす

ああ青空はただ深い。

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