1章57 『陰を齎す光』 ②


 ガクーンっと――



 “R.E.Dレッド SKULLSスカルズ”も、美景台学園のヤンキーたちも、顎が外れるほどに口を開けたまま目の前の光景に固まっている。



 化け物のようなネズミに襲われ、猫が人語を発声し、そしてJKが魔法少女に変身する。



『そんなバカな』と言いたくなる展開の連続に彼らは放心し、立ち尽くすことしか出来なかった。




「えいっ! 【光の種セミナーレ】ッ!」



 魔法少女が手に持ったステッキを振ると、ステッキの先端の宝石からピンク色の光の玉が飛んでいく。



 中の生ゴミでも漁ろうとしていたのか、ゴミ箱をシェイカーのようにシャカシャカしていたネズミさんにその魔法の玉がぶち当たる。


 玉は衝突するというよりもネズミさんの顔面を抉り取ってそのまま貫通し、背後にあったビルの壁に大穴を空けた。


 頭部を失ったネズミさんはゆっくりと横倒れ、砂の城が崩れるように形を失っていき、やがてほわほわーっと天に召される。



「…………」



 誰も何も言えなかった。


 何を言っていいのか思いつかなかったのである。



「マナッ! あっちでもニンゲンが襲われてるッス!」


「わわわ……っ、たいへんっ! お尻が破れちゃう……っ!」



 ネコ妖精のメロが示す方を見ると、一人の不良少年のダボダボのズボンを前歯に引っ掛けたネズミさんがブンブンとお顔を振って荒ぶっている。



「ネズミさぁーん……、ダメだよーっ……!」



 水無瀬は危機感を全く感じさせない注意勧告をしながら、ふよふよーっと現場へ飛んで行った。



 その背中をしばし見守ったのちにジュンペーがハッとする。



「ボケてる場合じゃねェ……! オイ、ヤマトくん!」


「え……? あ、あぁ……」


「ズラかるぞ! 何がなんだかわかんねェが、付き合ってらんねェ!」


「あ、あぁ……」



 ヤマトの反応が悪くジュンペーは苛立つ。


 そうしている間にも仲間の悲鳴があがる。



「――うわあぁぁーーッ! たっ、たすけ……っ!」



 化けネズミに追われたメンバーがこちらへ逃げてくる。



「チィ――ヤマトッ!」


「――ッ⁉ わかってるよ……ッ!」



 ジュンペーが怒鳴りつけると、ここで危機感の方が勝ったのかヤマトが動き出す。


 ヤマトはすぐ近くにいた配下の不良に声をかける。



「オイ、火炎瓶だせ!」


「え……? あ、はい……っ!」



 ほぼ反射的に命令に従い、スカルズの兵隊は火炎瓶に着火した。



「投げろッ!」


「で、でも、アイツらに……」


「直で当てなくてもいい! バケモノの手前で落ちるようにしろ! 火がつきゃあそれでいい!」


「は、はいっ!」


「ジュンペーっ! いけっ!」


「オォッ!」



 ヤマトの指示に従い兵隊は火炎瓶を放る。


 山なりに飛んでくるそれを目にした逃亡者たちはギョッとすると左右に開いた。



 火炎瓶投擲と同時にジュンペーも動き出している。


 手に着けたオープンフィンガーグローブを剥ぎ取って放り捨てながら、ゴミクズーの方へと走った。



「――キィィーーッ⁉」



 瓶がアスファルトにぶつかって割れると路上に火が拡がる。


 ネズミのゴミクズーは怯んだ。



「これなら――“跪け”ッ……!」



 その瞬間を狙ってヤマトはパーカーのフードをズラし、露出した目でネズミを睨みつけた。



「ギィィッ⁉」



 すると今度はゴミクズーの躰が上から押さえつけられたかのように沈む。



「やっぱり……っ! これなら効くか! やれェっ! ジュンペーっ!」


「オオォォォォォッ……!」



 ジュンペーは身動きの出来なくなったバケモノの頭部に素手ベアナックルのコンビネーションを叩き込む。


 身体に染み付くまで練習しパターン化されたラッシュを見舞うが、10発も打ち込まない内にジュンペーはバックステップを踏む。



「ダメだ……! 手応えがねェ! 効いてねェぜ……っ!」


「クソッ……!」



 ヤマトとジュンペーは焦燥を浮かべ、そしてすぐに表情をギョッとさせた。



一発の魔法球がほよーんっと飛んできて、身動きが出来ずにジタジタするネズミさんのどてっ腹に風穴を開けたのだ。


 ほわわーんっと召されていくネズミさんを唖然と見上げていると、その視線の先にこの現象を起こした者が見える。



 片手でネズミさんを持ちあげて、逆の手でスボンのお尻に穴を空けた男を持ち、空を飛んで彼女はこちらへ向かってくる。


 そして救助をした男を彼らの近くへ下ろしてあげた。



「はいっ、お友達連れてきたよー!」


「ヒッ、ヒィーーッ……!」


「あ、あぁ……」



 水無瀬に助けられた男は錯乱し悲鳴をあげ続けている。


 彼を渡されたヤマトたちは水無瀬にも救助された仲間にも目を向けずに生返事をする。


 彼女のちっちゃな手のひらの上に背中をのせ、腹を天へ向けて手足をジタバタさせるネズミさんを唖然と見ていた。



「えいっ!」



 そんな彼らの様子に気付かず、魔法少女ステラ・フィオーレは可愛らしいかけ声とともに、ネズミさんをポイした。


 ぴゅーっと飛んで行ったネズミさんはビルの壁にグチャっとぶつかる。


 そしてそこに――



「【光の種セミナーレ】ッ」



 追うように放たれた魔法の光弾が直撃しまたネズミさんが一匹浄化された。



 壁に衝突したネズミの口から胃のようなモノが飛び出ていたような気がしたが、彼らは見なかったことにした。



「さぁ、みんな逃げてください!」


「あ、あぁ……」



 真面目な顔で彼女に避難勧告をされるがやはり生返事しか出てこなかった。



 そこへネコ妖精がやってくる。



「マナ! まだ襲われてる人がいるッス!」

「早く助けないと……っ」


「ニンゲンだけ結界の外に追い出せねェッスかね?」

「えっと、それがね……」



 流暢に日本語を発音する猫に周囲の人間たちが気味の悪いものを見る目を向ける中で、二人は相談を続ける。



「あのね? 結界がうまく張れなかったの」


「ニャンと? ちょっと待つッスよ……」



 メロは水無瀬に断りを入れるとピンっとイカ耳を展開し、続けておヒゲをうにょうにょと脈動させる。


 何かを探るように目を閉じて、やがてシッポをビヨーンっと立たせた。



「――なるほどっ! そういうことかッス……!」


「なにかわかったの⁉ メロちゃん!」



 奇怪な挙動を見せるネコを周囲の人間たちが警戒する中、メロは迫真の表情で水無瀬へ伝える。



「すでに誰かが結界を張っているみたいッスね!」


「そうなんだ」


「これをどうにかするより、一人ずつでも助けだした方が早いかもしんないッスね」


「そうだね……」



 今もそこかしこでスカルズの兵隊たちがゴミクズーにオモチャにされている。



「うっ、うわあぁぁっ……、おがあぢゃあぁぁん……っ!」



 ネズミさんに圧し掛かられ、暴漢に犯される寸前の女性のように泣き喚いていたり――



「たっ、たすけ……、ヒィッ、たすけてぇぇぇッ!」



 ネズミさんにポンポンとお手玉されていたりと、其処彼処で人々の悲鳴が轟いている。



「たっ、たいへん……っ! 【飛翔リアリー】ッ!」



 救援に向かうために飛行魔法を唱えると、ショートブーツから生えた小さな羽がほよよんっと羽ばたき、水無瀬はぴゅおーっと飛んでいった。



「ネズミさん! やめてあげてぇっ!」



 ドンっとネズミさんを押すと、男が全力で跳ねのけようとしても微動だにしなかったネズミさんがコロコロと勢いよく転がっていってゴキャっと壁にぶつかる。



「さぁ、逃げてくださいっ」


「ヒッ、ヒィィィッ……!」



 圧倒的なパワーを見せつけた魔法少女に男は悲鳴をあげた。



「お手玉もダメぇーっ!」


「うっ、うわぁぁぁっ⁉」



 続いてお手玉中のネズミさんに魔法弾を撃ち込み浄化すると、受け止める者がいなくなったお手玉少年が落下する。


 絶叫しながら落ちる彼を水無瀬は見事にキャッチした。



「もうだいじょうぶだよっ」


「ととと、飛んで……、浮いてるぅーーっ⁉」



 ニコっと笑いかけて地面に下ろしてやると彼は泡を食って走って行った。



「みんなあんなに怯えて……、かわいそう……」



 魔法少女はよいこのみんなの味方なので、まさか自分が怯えられているとは欠片も考えない。


 愛苗ちゃんは眉をふにゃっと下げて人々を思い遣ってから義憤を燃やした。



「もっともっと頑張らなきゃ……!」



 そして今更になって彼女は、今の自分の魔法は人間に当たってしまっても大丈夫になっていたことを思い出す。


 ここまではなんとなく人間を掴まえているゴミクズーに魔法を撃ったら危ないと思い遠慮していたが、もっと“頑張っても”よいのだと気が付いた。



 そうしていると、路地の中からピョコンピョコンっと新たなネズミさんが続々と飛び出してくる。


 ここまでに少しは数を減らせたと思ったが、相当な数がこの辺りに棲息していたのか、今では最初の数を上回っている。


 ゴミクズーたちは現れるなり次々に人々に襲いかかり始めた。



「クソがっ……! 次から次へと……っ!」



 敵の増援にジュンペーは憤る。


 せっかく逃げてきた連中もまた掴まったり追われたりして散り散りになってしまう。



「ジュンペー! こっちにも来るぞッ!」



 ヤマトの叫びに周囲を見れば、彼らの居る場所も囲まれ始めている。



 危機的状況に陥っているのは彼らだけではなく――



「――うおぉぉぉッ⁉ こっち来んなぁーーっ!」

「オレら“ダイコー”だぞ⁉ ネズミくれェ上等だかんなっ⁉」



 倒れたまま身動きのとれないモっちゃんたちの所にもゴミクズーは押し寄せてきた。



 チチチ――と鳴いてビー玉のような目玉に顔を覗き込まれ、悲鳴をあげようとして彼らは硬直する。


 ネズミを見るために上げた視線の先、大型犬サイズのそれの背後の空に浮かぶものを目にして声が出なくなった。



「な、なんだあれ……」



 同じものを目にした誰かが呆然と呟く。



 空には無数のピンク色の光球が浮かんでいた。



 地上とその光の軍勢との間に浮かぶのは魔法少女。



 大軍を従える指揮官のように魔法のステッキを上げて、そしてそれらを嗾けるために振り下ろした。



「――【光の種セミナーレ】……っ! いっぱい!」



 全力で殴っても僅かなダメージも与えられないような化けネズミを一撃で殺し、ビルのコンクリを容易に砕く。


 一発一発にそんな威力を秘めた無数の破壊の種が、一斉に地上へ向けて降り注いだ。



「ぎゃあぁぁぁーーーっ⁉」



 其処彼処でそのような悲鳴が上がる。


 誰もが己の死を自覚させられた。



 魔法の光球は近くに人がいようがおかまいなしに全てのゴミクズーを狙う。



「やっ……、やべでぇ……っ⁉」



 掴まえた人間を『獲ったどー』のポーズで持ち上げていたネズミさんに上空から迫った魔法は、人間の身体を通り抜けてその下のネズミを頭部から撃ち抜いた。



「ひぎゃぁっ⁉ あなっ……! おでの腹にあな……っ⁉」



 撃ち抜かれた男は地面に落ちると半狂乱で自分の腹部に手を遣るが、



「……あれっ? なんともない……?」



 自分の身体が何ともないことに首を傾げる。



 通りのあちこちで同じ現象が起こり、魔法に触れたネズミは灰塵と帰し、しかし人間は僅かな傷も負わない。


 魔法が道路を抉った跡と、何人かの男のズボンにシミだけを残し、物凄い速さでゴミクズーは駆除されていく。



「――魔法少女の魔法は人々の希望……、決してニンゲンは傷つけないッス……」


「そ、そッスか……」



 破壊の雨の勢いが弱まると、どこからかひょっこり現れたネコ妖精がドヤ顔で語る。


 モっちゃんは反応に困った。



「おっ? モっちゃん! 動けるようになったぜ!」


「え……? お、マジだ……!」



 どうやら今のショックでヤマトの拘束が解けたようで、モっちゃんたちは立ち上がり身体の調子を確かめる。


 すぐに首を振って逃走経路を探すが、ネズミはまだ路地の中から飛び出しこのスケボー通りに集まってきている。



「ど、どんだけいるんだよ……っ!」



 しかし、今度現れたネズミたちは彼らを狙ってはいないようだった。



 殺気立った様子で上空の水無瀬を狙っている。



 そしてネズミさんたちは次々と跳び上がった。



 それを「むむむ……」と見た水無瀬は防御魔法を展開する。



「【光の盾スクード】ッ!」



 接近戦を挑むゴミクズーを受け止める光の盾を創り出す。


 しかしネズミたちは水無瀬には向かわなかった。



 走ってきた後続のネズミたちが地上で横一列に並ぶと伏せの姿勢をとる。


 先にジャンプしていたネズミたちがその上に着地し、どんどんと上に積み重なっていく。



「こ、これは――ッ⁉」



 それを見たメロが驚愕の声を上げると、3匹のネズミさんが宙を舞う。



 2匹のネズミが空中で交差して“X”を描くと、擦れ違ったその後に最後の一匹がクルクルと縦回転しながら現れて、ジャンプの最高到達点でビシッとポーズをキメた。


 そして落下した彼らは積み重なったネズミの頂上に着地し、巨大なネズミのピラミッドが水無瀬の前に完成した。



「ピィーーーッ!」



 頂上のネズミのその鳴き声を合図に、ピラミッドを構成する全ネズミさんがバッと顔を上げて正面を向き魔法少女を威嚇する。



「わぁーっ、ネズミさんたちすごいっ! 組体操練習したの?」



 動物さんたちのラブリーな芸を見た愛苗ちゃんは嬉しくなり、パチパチと暢気に拍手をするが――



「――え……?」



 今や水無瀬の居る位置よりも高く積み上がったピラミッドがグラリと傾く。


 そして水無瀬目掛けて倒れてきた。



「わわわ……っ⁉」



 水無瀬は慌ててその場を退散する。



 ぴゅおーっとネズミのピラミッドを迂回するように周り、モっちゃんたちの前まで逃げてくる。



「クゥッ! まさか合体技を使ってくるとはッス……!」


「ネズミのくせにハンパねェな……! 見事だぜ!」

「テッペンとってやるってキガイが伝わってきたよな! モっちゃん!」


「い、いや……、あれそんなヤベェか……? ちょっと距離とるか、正面に立たなきゃ当たらなくね?」



 ネコ妖精とヤンキーが戦慄しているが、まったく共感できずにヤマトは戸惑う。



 そんな彼らを尻目にネズミさんたちはまた組体操を始めた。



「ど、どうしよう……っ⁉」



 敵の必殺技に困ってしまった愛苗ちゃんはオロオロとする。


 キョロキョロと辺りを見回すと、自分の背後にはみんなの姿が。


 彼らは走って逃げれば無事に済むかもしれないが、周辺には倒れている人もまだいる。


 ピラミッドの近くにも逃げ遅れて腰を抜かしたスカルズの兵隊さんたちが何人か取り残されていた。



 次は避けて逃げてしまっては彼らがネズミさんの下敷きになってケガをしてしまうかもしれない。



「クソッ! オレたちにも何か出来ることはねェのか……!」



 モっちゃんは無力さを嘆き地面を蹴る。



「出来ることはあるッス!」


「なんだって⁉」



 メロがそう言うと彼らは真剣な目でネコさんを見返した。



「教えてくれ……! オレたちはどうすればいい⁉」


「うむッス……」



 周囲の注目を集めてご満悦な様子でメロは大仰に頷いた。



「それは――応援ッス!」


「おう、えん……?」



 彼女が自信満々に告げた答えは彼らを満足させるようなものではなかった。



「応援たって……、なぁ?」

「あぁ、実際なんの役に立つんだよ……」


「バカモーンッス!」



 行動することを否定する愚かなニンゲンどもをメロは一喝した。



「魔法少女は街のみんなのために戦ってるんッス!」


「え? そうなのか?」

「水無瀬ちゃんは魔法少女だったのか⁉」



 何の説明もされないまま状況に置き去りにされていた彼らは驚きの事実に瞠目する。



「その通りッス! あと水無瀬ちゃんじゃなくって“ステラ・フィオーレ”な? 変身中は本名NGッスから。親しみをこめて“フィオーレ”って呼ぶッス。これマナーな?」


「ふぃ、ふぃおーれ……?」


「みんなの応援が魔法少女の力になるんッス! さぁ、一緒に叫ぶッス!」


「お、おぉ……?」



 戸惑いを浮かべつつ彼らは水無瀬へエールを送り始める。



「が、がんばれー! 水無瀬ちゃーん!」


「バッカもぉーんッス! もう忘れたんッスか⁉」


「あっ、フィオーレだ! フィオーレって呼ぶんだよ、モっちゃん!」


「そ、そうか……、おいリクオ! オマエもやるんだよ!」


「え? あ……、おぉ……?」



 厳しいイベントスタッフに怒られながら彼らは声を張り上げる。



「がんばれーっ!」

「フィオーレっ!」

「がんばれーっ!」


「ウォラァーッス! もっと腹から声を出せーッス! オマエらのキンタマはカラッポかー! 抜きすぎでそれしか出せねーのかーッ! このオナ猿どもがぁーッス!」


「く、くそっ……、がんばれーっ!」

「フィオーレがんばれー!」



 全身の力を吐き出すような叫びは水無瀬に届き始める。



「み、みんな……っ」



 愛苗ちゃんはみんなの声にうるっとする。当然雰囲気だ。


 すると、同じく雰囲気に流された他のスカルズのメンバーたちも何人か応援に加わり始めた。



「は……? なんだこれ? なにやってんだ……?」



 野太い声で叫ばれる魔法少女への応援コールにジュンペーは引いた。



「そうじゃないッス! オマエらなんにもわかってないッス! 『フィオーレがんばれー』じゃないッス! 『ふぃおーえ、がんばえー』って叫ぶッス!」


「ふぃおーえ、がんばえーっ!」


「そうッス! もっと精神年齢下げてッス! モテたいとか思ってんじゃねぇーッス! 自分を捨てろーッス!」



 人心を惑わせる邪悪なネコ妖精の熱心な指導により、あっという間にこの場は“おっきなおともだち”だらけとなった。


 当然正気を保ったままの人々はドン引きしていたが、形振り構わぬ応援は確かに魔法少女の力になる。



「みんな……っ! 私っ、がんばるねっ……!」



 水無瀬は嬉しそうに笑顔を咲かせてから一転し、キッと強い眼差しを完成したネズミさんのピラミッドへ向けた。



 魔法のステッキを構えてその先端に強大な魔力を集中させる。



 その魔法にみんなの願いをのせて――

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る