第2話

ターコイズブルーのノート。ボールペンがまた新しいものに変わるときいのった。

一日のはじめに真っ白なページに線を引いてから日付けをかく。

左半分上にするべきことを、左半分下に「したいこと」。

右側にのこしておきたい小さな思い出の数々をかきとめた。


するべきことは、支払いにいく、学校へのプリントをだす、宅急便、お肉を冷凍庫に移す、など。

したいこと。コーヒー飲む。冬の夜ホットチョコレートと焼きリンゴを作って一緒に食べる。クリスマス前子供と一緒にお部屋を飾ろう。


右側は哀しいこともかくこともあったけれど、みかえすとものすごいたくさんのしあわせばかり小さい文字でびっしりとかきこんであった。それが何冊もなんさつもあるのだ。 子供たちが喧嘩したけれど自分たちで仲直りしたといった、忘れてしまいそうだけれど小さな成長や喜びもあった。もものはながさいた。パラリンピックを家族で見た。「じぶんのこどもをしんじよう」とかいて線で囲っていた。


一番最後あたらしいさいごのノートに「しあわせでないた」とかいてあった。

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