異世界物の面白さを詰め込んだグルメとギフト

異世界を舞台とした作品の面白さには色々ありますが、そのうちの一つが「独自の世界を観覧する面白さ」だと思います。
本作では、異世界ならではの食材や調理法を通して作中世界を体感できる作りになっており、作中テーマの展開で新たな世界が広がっていくのを感じられます。現段階ではまだそのスタート地点というところですが、今後どんなグルメが用意されるのか期待感が強いです。
作中世界の特殊能力であるギフトについても、既存作とは少し異なる趣向が凝らされており、それを見るだけでも面白いです。また、主人公の得たギフトには食事を不要とする内容が含まれており、一見グルメとは食い合わせが悪いように思えました。しかし、作中で進化の可能性が示されたことから、どのようにグルメと組み合わせていくのか楽しみなポイントの一つとなっています。
登場人物については、敵味方や善悪が分かりやすく区別されており、主人公も一貫してその場で最善と思える行動をとり続けています。また、序盤の苦労も素早い展開で通り過ぎました。この辺りは好みが別れる点かもしれませんが、作中世界を楽しむという意味ではストレス展開や灰色の決着は雑味になりかねず、個人的には好ましいと感じます。
総計して、ストレスなく異世界を楽しめる良作ですので、是非一読いただければと思います。