長耳タレ目と犬耳巨乳と巨大な樹

外伝05話 長耳少女と犬耳少女

私の名前はロゼッタ。で、隣にいる犬耳の巨乳女がリーゼ。


私は幼馴染のシーくんを愛していて、そして一緒にいたいと思っている。いろんなことができるシーくんに釣り合う女になりたくて、別行動をとって頑張っているうちに、シーくんにくっついて来たのが、このリーゼという女だ。


「リーゼ、パーティー名は、ほんとにそれでいいの?」

「ボクとロゼッタ二人なんだから、ちょうどよくない?」


まーでも、シーくんを真剣に愛していて、釣り合う女になりたい!という気持ちはリーゼも、全くおんなじで、だからか妙に意気投合してしまった。


再会したシーくんカッコよかったもんなぁ…。背が伸びて、目線がずっと上だったし、体格も大人っぽくガッチリしてきて、ドキドキしちゃったもん。コーダエで別れたときは、同じくらいの背丈だったのになぁ。


で、そんなシーくんの恋人に、どっちかではなく、2人でなろうとなり、告白し、シーくんはそれを受け入れた。シーくんみたいに、顔がよくて、ハンター階級も高い男の人が、奥さん一人な訳ないしね。


「何か手抜きすぎな気がするんだけどなぁ…」

「ボクはわかりやすくて、いいと思うけどなー」


で、脚をなくしたシーくんに最高に美味しいものを食べさせるために、リーゼと二人でのパーティーを組み始めたんだけど…。


ハンター協会の事務側から、パーティー名をつけないか、と言われた。女二人組のハンターなんて目立つので広告塔にでもしたいという気持ちが協会側にあるんだと思う。


私自身、正直なところ、周りからもカワイイ、キレイってよく言われるから、ある程度見た目が良いという自信はある。


あるんだけど、このリーゼは、びっくりするくらいの美少女で、この子を見ていると、ちょっと自信がなくなってくる。


「フォレストウルフ?フォレストが森人族エルフの私で、ウルフが狼人族ワーウルフのリーゼってことなのよね?」

「そうそう。カンタンな名前でいいでしょ?パーティー名なんて」


胸を張ってリーゼがそう言うと、それはそれは大きくて、小さな顔と同じくらいか、下手したらそれより大きなおっぱいがぷるるん、と揺れた。…ズルいなぁ…私もそれなりにあるけど、リーゼには負ける。シーくん…おっぱい大きい女の子がいるとチラチラ見ちゃうからなぁ。


「リーゼがそれでいいなら、いいけどね」

「じゃあ、ボクが、これで提出しておくね〜」


そう言って受付の方に行くリーゼを見送り、私はそこにあったテーブルに座った。


リーゼは優秀なハンターで、シーくんすら明らかに一目置いていた。シーくんは昔から、リアリストなところがあるから、可愛いだけでは、絶対にパーティーは組まない…はず。


エッチなところもあるからちょっと心配だけど、命が関わるところではそんな判断はしない。


そもそも、あの鶏体蛇尾コカトリスのトドメは明らかにリーゼの火力なくして成り立たなかったからなー。


そんな階級6一流のリーゼに着いてきたから、仕事で受けるモンスターも必然的に階級が高くて、私も気付いたら階級5腕利きになっていた。


もちろん、鶏体蛇尾コカトリスでの戦闘評価があったからすぐに上がったんだけど。あれがなかったら、同じようにやっても、今の階級に上がるまで数年はかかっただろうなー。


今、私とリーゼは、ワラカ森林国にあるオーザという街のハンター協会にいる。ここの近くにあるアカマーン森林で、取ることができるエインシャントトレントの木の実がとても美味で、しかも元気が湧き出る果物らしい。


シーくんに最高に美味しいものを食べさせる、そう決めて、リーゼと2人、リザ村を出て、まずはブキョウ博国の図書館で2か月かけていろいろ調べた。その結果、シーくんに渡す物は、エインシャントトレントの実が1番いいという情報にたどり着いた。


で、そのエインシャントトレントがいるという情報を聞いて、二人で仕事しながら来たわけ。


私は、リーゼがパーティー名を登録する手続をしている間、隅のテーブルで休んでいた。


すると、その私が座っているテーブルに近づいてくる人がいた。私のテーブルは隅だから、こっちに来るには私に用事がある場合しかない。


やな予感がする。


「ねぇそこのキミ、僕たちとパーティー組まない?」


はぁあ、まただ。


リーゼと二人で旅をしているとこういう声かけがものすごく多い。しかも男ばっかり。悪いけど、シーくん以外の同年代の男は、みんなマーガイモみたいに見える。


同年代の…只人族ヒュームかな?の男の子は、後ろに2人ほどいるので、3人で組んでいるのだろう。


「ごめんなさい。私、友達と組んでるから」

「友達ってあの受付の狼人族ワーウルフの娘だろ?ウチらは3人だから、2人なら入れるぜ?なぁ組もうぜ?」

「………」


露骨に断ると逆恨みされることもあるので、穏便に済ませたい。


「私、男の人の組むの怖いので、本当にごめんなさい!」

「大丈夫だよ!絶対に変なことしないって!」


話通じないなぁ。受付をしていて、こういう男は死ぬほど見てきたけど…。しつこいよなぁ。どうしたら、引き下がってくれるんだろう?


そこにパーティー名登録の受付を済ませたリーゼが戻ってきた。ああ、さらにややこしくなる。


「ロゼッタ、どうしたの?何その男?」

「この人たちがパーティーを組みたいんだって」

「え?こんな雑魚そうな男いやに決まってるじゃん」


ああああ。もおおおおお!リーゼは、こういうところ良くない!シーくん以外に興味なさすぎて、平気でこういうことを言うのだ。


「さ…雑魚だって!?この僕がかい?」

「ほかに聞こえたなら、耳もおかしいんじゃないの?」


リーゼエエエエエエ!いきなり喧嘩腰〜。こんなのとにかく、怖いからイヤだ、知らない人はイヤだ、って断っておけば、諦めるのに。


「というかー、悪いけど、キミ、イカ臭い。発情しすぎで気持ち悪いんだよね」

「は…発情…」

「ボクも、ロゼッタも、無茶苦茶強くて、イケメンの恋人がいるからさ。ボクたちに発情しても無駄だよ?」


はー。どストレート。リーゼも、ホントにシーくん好きなんだなぁ。


「どんな男か知らないけど、僕よりいい男とは思えないけどね」

「「それはない」」


思わずリーゼとハモってしまった。シーくんより良い男なんて、いるわけないもん。


「じゃあキミは、階級7より上なの?」

「ええ!?7?何を言って…」

「シダンはボクと同じ歳で、階級7だからね」

「…」

「とても珍しいランクAのギフトを持っていたので、ハンター協会からスカウトされて、ランク4からのスタート。12歳で同族喰らいカルニバル殺人鬼マーダー、13歳で鶏体蛇尾コカトリスを倒して、階級7に上がったシダンよりいい男なの?」


こう並べると冗談みたいな話だけど、事実なんだよねぇ。


「へ?え?」

「そういうこと。ゴメンね?少なくともそれよりいい男だったら考えてもいいから」

「あ、はい」


すごい剣幕に、イカ臭い少年たちは引き下がった。しかし、リーゼの大声に別の人が釣られてしまったみたいだ。


「13歳で階級7だと?お嬢ちゃん、バカ言っちゃいけないよ」


振り向くと、あー今度はオッサンだ。


「別におじさんに信じて貰おうなんて思ってないよ。関係無いんだから放っておいて?」

「いーや、関係あるね!階級の詐称は大問題だからな」

「はー、じゃあここ協会なんだから問い合わせれば?もし実在だったらおじさんの全財産置いていってよ。ボクが間違っていたら、おじさんの奴隷でも何でもすればいい」


ハンターの任務は、ハンター証がないとわからないが、滞在している場所やプロフィールなどは、公開されているため知ることができる。いくらか金を払って問い合わせれば、簡単に覗くことができる。


「ほう!言ったな!問い合わせるぞ!いいんだな?」

「早くやってよおじさん。こっちも暇じゃないんだから、間違っていたらちゃんと全財産払いなよ」


おっさんはニヤニヤ顔で受付に向かう。そして、受付のお姉さんに、銀貨を1枚渡していた。


「おう、問い合わせ頼むわ」

「わかりました…そのシダンというハンターですね…はい。ハンターシダン確認しました」


お姉さんが、そういう共通の情報にアクセスできる魔法の板みたいのを読みながら言う。


「統一歴502年、北方蛮族イーサマータ産まれ

511年に鑑定を行い技能憑依ライカンスロープランクA:シードと判明。同日にギフトが進化して生命の芽スプラウトに。このギフトは同年に生命の苗木シードリングに、514年に生命の若木インファントツリーに進化している。


上記ギフトが、治癒能力の特性を持つことから、特例で511年に階級1、同年中に階級3。


514年正式なハンターデビューを持って階級4。

主な解決任務として、514年突撃猪チャージボア駆除任務で、偶然居合わせた変異種同族喰らいカルニバルの駆除、514年キワイト領の狩り祭りに護衛として参加し、殺人鬼マーダーの駆除、515年シマット商業国リザ村に現れた鶏体蛇尾コカトリスの緊急駆除がある。


階級は現在7。

資格は、マーリネ農業国統制委員ルーラー

協会設定の2つ名は『万能の天才オールラウンダー

索敵、知識、味方の援護、補助、近接での攻撃、遠距離からの攻撃、防御、そして傷の治療まで、あらゆる場面において一流以上の能力を持つことからつけられてる。

鶏体蛇尾コカトリス駆除の際に両膝から下を失っていますが、ハンター協会が現在治癒系統の魔法使いと渡りをつけている」

「階級7で、統制委員ルーラーで、2つ名持ちだと…!?」


シーくんのプロフィールに、おじさんハンターの顔は真っ青になっていた。全財産と言っても大した額じゃないだろうけど、とりあえず貰っておこう。


「はい。そういうこと、おじさん、全財産置いていってね?」

「ふ…ふざけるな…じょ…冗談に決まってるだろ?」

「うわ。ダサい言い訳。謝ることも出来ない、無能のおじさん。そんなダサくて、よく生きてて恥ずかしくないね。私がおじさんだったら、はずかしくてハンター辞めるけどね」

「な…なんだと…子供のくっ」


おっさんが何かを言いかけた、そのときだった。おっさんの肩に誰かが手を置いたかと思うと、ドンという音がして、私の視界から突然消えたのだ。


「おい。おっさんがそうやって、女の子に絡むのはよくないなぁ…ってアレ?おっさんどこだ?」

「あなたのバカ力で地面に埋まっています」


確かに、おっさんはまるで五体投地したような姿勢で、半分ほど地面に埋まっていた。そしてしれっと、リーゼが埋まってるおじさんの財布を失敬していた。それは全財産ではないけど、まー面倒だしそんくらいで勘弁してあげるか。


おっさんを埋めたのは少し野性的な顔でかなりのゴリマッチョな少年と、そしてその横には、少し年上の、どこか見たことある黒髪の…あれ?この2人は!?


「もしかして、フォームとプラト!?」

「あん?俺の名前をなんで知ってって…あれ?その顔どっかで見たような…んん?あーロゼッタか?」

「そう!何で忘れてるの!?」


するとプラトが嬉しそうに近づいてきて、私の両手を取って握ってきた。


「ロゼッタ、久しぶり!」

「プラト、久しぶり!」


私がキースさんに連れられて孤児院に入る前、1月ほど、私を匿ってくれた、私の最初の友達、プラト。


「ロゼッタ?この2人知り合い?」

「うん…まぁあっちの脳筋男は微妙だけど、このプラトは、私の最初の友達なの」

「へー。そうなんだ…うーん」

「ん?どうしたのリーゼ?」

「そのプラトって子の顔、どっかで見たことあるような気がするんだよなぁ」


うん?どこか?どこだろう?見覚えも何も私の1番古い記憶にある顔だからなぁ。


「ロゼッタと、そちらのパーティーメンバーのお嬢さん」

「あ、リーゼっていいます」

「では、リーゼさん、私たちと一緒にお仕事しませんか?」


プラトがそう言って、私たちを仕事に誘ってきた。

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