あーこっこ、YouTu馬になる

逆転の乗馬ライフとあーこっこ乗馬日記

 2019年12月24日から、私はYouTubeで「逆転の乗馬ライフ」という動画をアップし始めました。

 すでに、カクヨムでも「Le Ciel Blue〜逆転の乗馬ライフ」という作品をアップし終えていて、内容は違いますが、コンセプトは一緒です。


 馬を憎むために乗馬を始めたんじゃない。

 馬に嫌われるために乗馬を始めたんじゃない。

 

 それまでもYouTubeはアップしてきたのですが、どちらかというと、限定公開が多く、友達に見せたり、長年書いている日記に貼り付けたり……という用途でした。

 それをガラッと変えて、多くの人に公開するようにしたのです。

 過去の私と同じ悩みを、今、抱える人たちに向けて発信していますが、その実、孤独に馬と向き合っている私の癒しでもあります。

 時期も、ちょうどあーこの故障明けで、あーこの騎乗の回数などで、3人の中で遠慮があったり、まるで誰が故障というジョーカーを引いてしまうんだ? みたいな、不安が渦巻いていて、思い通りの騎乗ができず、モヤモヤしていた時期です。

 悩んでいる人たちへのメッセージの形ですが、私自身が一番励まされたのです。


 このシリーズは、なかなか好評でした。

 とはいえ、YouTubeの収益化には程遠いもので、私自身も、収益化できたらラッキーくらいにしか思っておらず、それよりも、自分の思っていることを表現できること、それを受け止めてコメントをくれる人がいることに、喜びを感じていました。

 それと、まこさんに私の考え方を伝えるのにも役に立ったように思います。

 私たちは、同じように馬を大事にして乗っていきたい者同士ですが、決して完全に同じではありませんし、全く正反対の馬の扱い方をすることもあります。

 まこさんとは長い付き合いですが、そのせいで、逆に昔の落ちこぼれだった頃の私のイメージの方が強かったようで、逆転シリーズは、もうその頃の私ではないよ、私なりの考え方に基づいているんだよ、というメッセージになったように感じます。以前よりも意思疎通が楽になりました。

 まこさんには、動画作りにも手助けしてもらい、ますます絆が深まったように思います。


 しかしながら、ネタはたくさんあるものの、伝わりやすくまとめるのが大変な逆転シリーズは、そうそうたくさんアップできません。

 それに、内容が重くなりがちなので、もっと軽く楽しく馬のことを伝えたいな、と思うようになりました。

 私にとっては、かけがいのないかわいいかわいいシェルの動画をアップしようか、と思いましたが、待てよ、それは単なる親バカ、オーナーバカな、はいはいご馳走様の自己満足動画になって終わりそうだ……と自重。

 そこで、あーこの1人称で、動画を作ってみることにしました。

「あーこっこ乗馬日記」の始まりです。


 2021年2月5日より開始した「あーこっこ乗馬日記」は、私の勝手な解釈のもと、あーこが語る方式です。

 時々、重たい内容もありますが、大概は、軽いノリの作風で、私も楽しんで作っていました。徐々に、あーこのキャラも確立し(?)語り口も一定になってきて、ファンも増えてきました。

「オイラ」という1人称に「〜だぜ」で締めくくる話し方、ちょっぴり偉そうに「〜したる!」と張り切るところ、私の創作ではありますが、あーこのキャラを反映させています。

 とはいえ、やはり、収益化には程遠い有様で、やはり、うまく収益化できたら、少しでも馬代の足しになるんだれどな、程度の考えしかありませんでした。

 誰かと共同オーナーでやっていければ、何とか維持できる状態だったので、そこまで切羽詰まってもいなかったのです。

 それに、収益化の壁は、果てしなく高く、必死に頑張っても達成できる見込みは、ほぼありませんでした。達成できる可能性の少ないことに時間を割くよりも、やはり、あーこの管理や調教に時間をかけた方が、はるかに大事なことだ、と思っていたのです。



 あーこっこ乗馬日記を開始してから、わずか4ヶ月後。

 私は、あーこを手放さなければならない危機に直面しました。

 何が何でも、なんとかして、お金を稼がなければならない状況に陥ってしまいました。

 切羽詰まってしまったのです。

 多くの人々の尽力により、なんとかYouTubeの収益化を果たし、あーこを維持できる可能性ができました。


 しかし……。

 もしも、この時「あーこっこ乗馬日記」をアップしていなかったら? 

「シェルっち日記」にしていたら?


 あーこのことをかわいそうに思ってくれる人はいても、ここまで親身になって、自分のことのように心配して、動いてくれる人がたくさんいたでしょうか?

 ネットに疎く、TwitterもFacebookもInstagramもチンプンカンプン、今まで使っていたYouTubeくらいしか使えない還暦間近の私が、自分の馬を何とかしたいとヘルプの声を上げたとしても、ネットの荒海に揉まれて藻屑となってしまい、誰にも届かなかったでしょう。

 実際、そうやって声を上げている人は数知れず、でも、なかなか声が埋もれて届かず、諦めてしまう人の方が、はるかに多いのだろうと思います。

 この4ヶ月間であーこを知ってくれた人たちが、あーこの一大事に、必死に動いてくれたのです。ものすごく親身になってくれたのです。

 何もできない私の代わりに一生懸命広げてくれて、おかげさまで、私がいくら頑張っても不可能だった収益化が、可能になったのです。


 あーこは、いろいろ大変なこともありましたが、一番大事なところで強運に恵まれているのかも知れません。

 世の中には、大変な目にあってそのまま消えていく馬の方が、まだまだ多いのですから。

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