日記

第1話

　今日俺は日直なので、いつもより40分くらい早く学校に行った。日直は朝に1人で教室の掃除をしなければならない。

　学校に着き、掃除をしていると教室の本棚の裏から日記が出てきた。かなり汚れていたのでだいぶ古いものみたいだ。俺は興味本心でその日記を読んでみた。名前のところはかすれて読めなかった。

　4月1日、今日は学校の入学式がありました。周りは知らない人たちばっかりだけど新しい出会いにとてもワクワクしています。

　4月8日、入学してからもう1週間が経ちました。だんだん周りの人たちは仲の良いグループを作り始めています。私はまだ誰とも話せていません。頑張らないと。

　そこまで読んで俺はこの日記を書いたのは女子生徒だということがわかった。

　4月10日、私は勇気を出して女の子5人グループのところに行き声をかけました。どうやらアニメの推しの話をしていたみたいですが、私は全然分からず話についていけませんでした。でも私はお友達になりたかったので懸命に笑顔で相槌を打っていました。

　4月11日、今日も私は昨日のグループのところに混じって懸命に相槌を打っていました。しかしそれが良くなかったのです。その日の放課後に女の子5人グループが話しているのを見かけました。でも話題はアニメではなく私でした。遠くから盗み聞きしていると、私がアニメをよく知らないくせに適当に相槌を打っているのがうざいとのことでした。私の知ったかぶりがバレてしまったのです。

　4月12日、私はグループで話していたアニメを徹底的に調べ、ストーリーを理解した上で推しキャラも1人決めて再びグループのところに混じりに行きました。しかし今度はわざわざ話を合わすためにアニメを調べてなおかつ推しをそんなに早く決めてしまうなんて本当のアニメファンじゃないと言われました。どうやらさらにうざがられたみたいです。

　4月16日、あれから私はそのグループと喋っていません。だから他の人に声をかけたのかと思いきやそれもしていません。実はこのクラスではその女の子5人グループがかなり権力を持つ様になったらしく私を除く全てのクラスメイトを支配下に置いたみたいなのです。なので違う人に話しかけても無視されてしまいます。グループの命令なのでしょうか？完全に出だしをしくじりました。

　4月20日、この日から無視だけでなくグループの子から数々の嫌がらせを受けるようになりました。これがいじめというものなのでしょうか？クラスのみんなは助けてくれなく、先生や親に言ったら今よりも嫌がらせを強化すると脅されました。私はクラスから逃げたかったです。でもこのきっかけを作ったのは私の知ったかぶりのせいなので自業自得なのかなと思い、耐えることにしました。

　そこからずっと毎日いじめの内容が書かれていた。相当辛かっただろう。

　5月20日、いじめが始まって1ヶ月が経ちました。私もかなり頑張って耐えてきたと思います。自分自身を褒めたいと思います。私は色々考えました、このいじめから脱する方法を。でもやっぱり１つしか思いつきませんでした。明日私は日直なので早めに学校に行きます。その時に実行しようかと思います。私は私をいじめた人を恨んでいます。大嫌いです。でもきっかけは私の知ったかぶりです。なので責任を押し付けません。そのために全てが書いているこの日記は誰にも見つからないように隠そうと思います。それでは行ってきます。さようなら…。

　日記はここで終わっていた。確かにこの学校では昔自殺をした生徒がいたという話は聞いたことはある。俺はこの子がかわいそうだと思った。いじめはやっぱり良くないな。

　その時後ろから誰かに声をかけられた。

　「かっテ…ニみナイでよ…。バレると…まズイ…の…。」