第2話 オタク君、入学する。
「・・・なるほ、ど?それでこの方の編入を許可しろと?」
「ああ。俺の傍にいるなら在学許可が必要だろう」
「そうですけど!そうなんですけ・れ・ど!いきなり過ぎて驚きましたよ!」
「貴方の説明を聞く限りでは、彼に召喚痕は残らないので、誠君を貴方の特別な従者と周りは認知できません。青龍系の証であるその首飾りも、単なる祝福と思われてしまいます。さて、どうしたものか」
「俺がずっと近くに居ればいいだろう」
「それ、絶対にお互いにストレスが溜まります。全力で止めますよ。それから、授業時間もくっ付いてるつもりでしょうが、彼が5年生の貴方と同じ程度の授業を受けられるとは思えません!その意味は、分かりますね?」
「実技が中心にして座学も発展内容ばかりだからな。だが、コイツが勉強する必要はないだろ?」
「編入学というのはそういうものです!」
(
と、元凶が心の中で言ってみます。はい。
ワーワーと半ば叫ぶように問答を繰り返す2人の横で、そういえば、キセモリでプレイヤーは「人間界とキセキの世界を繋ぐ
「!そう、それですよ!」
頭を抱えてうんうん唸っている総長にそれとなく聞くと、勢い良く立ち上がったので今度は俺らが驚いた。
「なんだ急に」
「誠君を巫祝見習いとして在学させれば良いんです!流石に青龍の一族の者の頼みと言えど、ただの人間をこの学園に置くことは難しいので。もちろん、きちんと勉強して、かつ青林君が適度に面倒をみることが条件です。如何でしょう?」
「いや待て。巫祝の一族にバレたらどうするんだ。あの一族は中々面倒だぞ」
「大丈夫です!そこはもう直談判で行きましょう!先代の巫祝は我々に借りがありますし、現・巫祝のご子息は継承を拒んで入学も拒否しています。寧ろ誠君が見習いになれば肩の荷が下りるでしょう。異次元へ来る術式を発動させられた辺り、素質はあると思いますよ」
ではスケジュールを組み、手土産を用意し、書類を用意し・・・と生き生きとしだした総長に毒気を抜かれ、俺たちはまぁいっかとなった。
「先方との話がつき次第、誠君の書類上の入学を認めます」
その言葉は、まさか相手が拒むはずがないという確信が満ち満ちていた。うーん、この学生にしてこの総長室あり。言っても、人間など彼にとっては恐れるものではないのだろうが。
「あくまで書類上、ですので。実質の編入学は来週から認めます。クラス等追ってお知らせするので、それまでに必要物品を揃えて衣食住の見当もつけておいて下さい」
「俺がそんな考えなしに見えるか?」
「そうですね。編『入学』と言ってるのに、と思うくらいには」
「はいはい。分かったよ。んで、コイツの面倒はしっかりみるさ」
「頼みましたよ。では、誠君」
「はい?」
「ようこそ、キセキの世界へ。そして、我が学園へ」
「そういえば、俺って1年生になるんですか?」
「そうだな。どうかしたか?」
「いや、俺、
「ふむ・・・つまり、婚姻は出来るな」
「婚、姻っ!?」
「そう身構えるな。第一、俺らに年齢による学年は当てはまらん。木霊の一族などどうする」
「あっ」
木霊、つまり木の精霊。彼らはこの世界に木が存在する頃からいるから、年齢なんて数える方が難しい。そういえばキセモリでいたな。キセモリイメチェン企画で選ばれた3年生の木霊の一族キャラ。
「つまり、勉強する者として1年生、と?」
「その通りだ」
「なるほど・・・いや、だからっ、婚姻!?」
「追々、な」
片目ウィンクに「しー」のポーズ付きだと!?
(あああお父さんお母さんありがとう。誠はこの世に生を受けて大変幸せでした。先立つ不幸をお許し下さい。青林様がカッコ良過ぎるんです)
「俺、いつ死んでも良い」
「それは俺が困るから勘弁しろ」
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