第4話草しか生えなーいwww

「さっそく『関羽ちゃんチャンネル』始めるわよ!」


 とりあえず底辺ユーチューバーの僕の部屋へ二人で戻ると関羽さんがいきなりそう叫んだ。


「いや…。もう少し捻りましょうよ…」


「だよねー。私はもともと慎重派だしねー。ここはしっかりと計略を練ってって言ってられっかあ!あのクソ馬超にあれだけ言われて黙ってられっかあ!つーか、あいつ、ぶっ殺す!」


「お気持ちは分かりますから!でもここで熱くなって感情的になるのは関羽さん『らしく』ないですよ!」


 女の子の姿をしているもののさすが歴史に名を残した武人。僕が食らった五往復ビンタは凄まじい威力だった。今も僕の頬は真っ赤に腫れあがっている。


「そ、そうよね。私『らしく』、ひとつここは冷静になっちゃいまーす。馬超は後で百倍返しするんでー」


「そうそう。それが関羽さんの長所ですよー」


「何?あんた、曹操はさすがに敵だけど呼び捨てすんの?一応曹操さんは私も認めてるんだからね」


「あ、いえ。そうそう違いです」


「なんかあんた大丈夫?研修用の動画で見たけど最初に仕えた、てか、あんたが私に仕えるんだからね!まあその、ユーチューバーっての?あんたユーチューバーよね?てか違うとは言わさねえよ。ユーチューバーじゃなかったらユーチューバーになりなさいよー」


「あ、大丈夫です。こう見えて僕、底辺ユーチューバーなんですよ」


「なるほどね。庶民派ユーチューバーってことね。で、名前は?」


 ようやく自己紹介。


「僕の名前は大草時(おおくさちか)。昔から仲のいい友達からは『おおそうじ』って呼ばれてるんだ」


「名前の時点で草。どころか大草原。草しか生えなーいwww」


 え?関羽さんがネットスラングを!どこで覚えたの!?そして僕は最近の『偉人』たちの活躍ぶりを関羽さんに説明し始める。


「関羽さんもご存じのように今はこの世界で過去の偉人たちが集結してユーチューブで活動してます。その辺は関羽さんがおっしゃった通りです。研修用の動画ですかね。その通りのことが今の世界では起こってます。ただ、一つだけ変わってきたことがあるんですね。それは『偉人』同士の戦いです。確かに無秩序に暴れまわるとアウトです。ただし、ある条件を踏まえればそのルールを回避して戦うことが出来るんです」


「へえー。それは初耳。寝耳にウォー!ター!ってやつかしら」


「…」


「あれ?どうしたの?続けて」


「あ、はい(キャラが…)。それは『コラボ』です」


「『コラボ』?」


「はい。ユーチューバーも実際にカメラの回ってないところでケンカとかしません。まあこの世界では手を出すとお巡りさんに捕まっちゃうんです。ただ!『コラボ』は別なんです。カメラの回っているところ。ユーチューブのチャンネル内での『決闘』はありなんです。実際に見てもらった方が早いですね」


 僕はスマホを取り出しユーチューブアプリで『ある』チャンネルを再生する。

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