第2話あんた馬鹿?
「あのお…、あなたは一体?」
「私か?私の名前か?え?知らない?うそーん!あり得なーい!」
すごくノリがいい。えーと。何かのドッキリですか?と思う僕。
「いえ…。本当に知りませんでして。すいません…」
「ちょっとー!あんた歴史の勉強してるー?」
「え?」
これって…まさか…!?と思う僕。
「私はー、遠い過去からやってきた!あの有名な!ほら、ここまでヒント言えば分かるっしょー」
ビンゴだ!この女性は『偉人』だ!とうとう底辺ユーチューバーの僕にも天使が舞い降りてきたんだ!でも名前も顔も知らないよー!
「すいません。僕、歴史とか全然ダメでして。すいません。てへ」
「てへじゃねえ!しょうがねえなあー。じゃあヒントいち。『三国志』。あー、もう答え言っちゃったかなあー!」
ええ!『三国志』ってあの!魏!呉!蜀のあの!…てか『三国志』で女子って…誰?
「すいません。勉強不足でして…」
「しょうがねえなあー!特別な!ヒントに!『関羽』!てか答え言っちゃったかなあー!」
え?関羽?関羽ってあの関羽?こういう時はスマホだ。ピコピコ。
『三国志 女性』
あ、関羽の娘さんで関銀屏って方がいらっしゃる。そうか…、でもレアキャラかも。
「分かりました!あなたは『関銀屏』さんですね!」
「はあ?あんた馬鹿?答え言っちゃったつったろ?『関羽』って」
「へ?」
「それに『関銀屏』は私の娘な」
「ええええええええええ!!!???関羽さんって女性だったのですか!?」
「それな。実は処刑された時に『うわー!もう駄目だ―!』って思ってたらさあー。なんか神様みたいな人が丁寧に説明会を開いてくれてさ。なんかこの世界に行くことを教えてくれてね。その時に性別も選べるっていうからまあそこは『じゃあ男で』と答えたわけよー!そしたらそいつがまあ捻くれた奴で。私には選択権は最初からなかったみたいで。女になっちゃったわけよー。ひどくなーい」
なるほど…。でも今の時代の関羽さんって大体女性キャラ設定が多いんですよねえ。
「それは災難でしたね。でも処刑されたはずなのに生きてこの世界にこられたのも事実ですし。そこは感謝じゃないですか?」
「そこなんだよねえ。で。さっきの話に戻るわね。説明会で一応研修用の『動画』っての?そいつを見せられてね。なんか『暴れたりしたらすぐに処刑される』ってのを説明されてな。で、私以外にもいろいろ来てるそうじゃない?いろんな時代からいろんな有名人が。私としては戦いたいわけよ。それに主君である劉備ちゃんも探したいしー。張飛とかー、みたいな」
ギャル語だ!あの関羽がギャル語ですよ!
「そうですねえ。まあ関羽さんがおっしゃる通りでいろんな時代のいろんな有名人がこの世界へ集中して来られてますよ」
「うほ!それで研修用の動画っての?で、他にも『この世界では部下とかもいないし、何をするにしてもお金が必要。それに元の時代の常識では通用しないよーん』ってことも説明されてさあ。そうなの?」
「ええ。実は今、先ほど関羽さんがおっしゃったように『暴れると即アウト』なんです。それで今は『ユーチューブ』ってものでそれぞれが自己主張をしてるんです」
「ああ!それそれ!『ゆーちゅーぶ』って言ってたわ!」
実際に見せた方が早いかも…。僕はスマホを取り出しユーチューブのアプリでそれを見せる。『馬超のコスモチャンネル』を再生する。
「あ!馬超じゃーん!」
『馬超のコスモチャンネル』で頭に猫を乗っけた馬超さんが人間の五感について、さらにその上の第六感、第七感と説明している。
「人間には味覚、聴覚、嗅覚、視覚、触覚の五感がありますが。前回はそのさらに上。六つ目の感覚、『シックスセンシズ』についてお話しましたが。今回は何と!そのさらに上の七つ目の感覚!『セブンセンシズ』についてお話します」
それを見た関羽さんが怒りの表情で言う。
「馬超!お前だけなんで兜はそのままなんじゃあ!」
え?そこ?いや、猫ですよ。あれ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます