第83話 巨大すぎる部品戦2



 巨大すぎる部品のぶっとびちらかすが発動しました。充填開始します。



 ああ……エネルギー充填はターンに関係なく行動できるやつかぁ。


「ぽよちゃん。封じ噛み!」

「もう動けないっすよ?」

「あっ、そうか。さっき、ぽよちゃんの順番終わってるもんね」


 僕がつまみ食いしちゃったから、僕の行動順だ。ということは、このままむこうのターンになったら……自爆?


「せめて、何ターンめで自爆するかわかればいいのに!」


 さっきの充填率は5%だった。ということは、1ターンで5%? それとも、時間経過で充填してく?

 順番、まちがってたなぁ。僕がつまみ食いしてアイツのHP減らしてから、ぽよちゃんに封じ噛みしてもらうんだった。


「とりあえず、つまみ食い!」


 残念。475しか吸えなかった。さっきは500だったのに。そっか。9500の5%は475だからか。次は9025の5%で451。つまり、つまみ食いするたびに一度に吸える量がへっていく。


 めんどくさいな。

 5%でなきゃいいのか。できればたくさん吸ってアイツの自爆を弱体化しておきたいから、90%くらい充填するまで待ったほうがいいのかな?


 僕は待ってみた。さっきつまみ食いしたから、ぶっとびちらかすはリセットされた。あらためて充填始めたものの、いつまでたっても5%のまま進まない。時間じゃないね。どうやら、ターン経過で充填率が上昇するらしい。


「しょうがないんで、ランス。神の言葉で保険かけといて。万一アイツが自爆しても、全滅だけはさけられる」


 その場合は、ウジットが来る前に逃げださないと。ランスが隠れ身を使えるようになるまで、なんとかこの戦闘をひきのばすしかない!


「オッケー。神の言葉!」


 ランス、それにしても神の言葉なんて知ってるの? 神のたもうた、なんとかかんとかってブツブツ言ってるけど。それとも、セラフィム職につくと勝手に浮かんでくるんだろうか?


 とにかく、これで全滅はしなくてすむ。ウジットが来たら、すぐに戦闘離脱だ。

 でも、そうなると、ウジットに警戒させちゃうよね。蘭さんたちが苦戦するかなぁ?


 エルが身を守ると、巨大すぎる部品の順番だ。ターン開始時、ウィンウィンと嬉しそうな音を出し、エネルギーを充填する。いっきに20%に充填率があがる。


「つまり、相手のターンのとき5%、自分のターンで15%充填するのか。5ターンで100%だよね。100%になった瞬間に爆発するなら、必ずむこうのターンで爆発する」

「封じ噛みしたまま逃げれば?」と、ランス。

「それだと、次に遭遇したときには封じ噛みの効果ないよ」


 どうにも困ったな。HPの二百倍ダメージってのが曲者。HP500でも二百倍なら十万ダメージ。蘭さんたちがコレに遭遇したら、全滅しちゃうなぁ。あ、ヘッチャラさがあるからいいのか。


「こっちのメンバーも無敵効果が使えたらなぁ。僕、精霊騎士までマスターしたのに、『ヘッチャラさ』はおぼえなかったよ? 精霊職の魔法じゃないんだ?」

「バランの生来魔法っすね!」


 バランに『ヘッチャラさ』写しといてもらうんだった!


 ランスが言いだす。

「かーくん。ソロモーンって封引ふういんが使えるんじゃなかったか?」

「まだおぼえてないんだよ」


 説明しよう。

 昔ゲーマーだったかーくんは、今までなにげに使ってたけど、就労特性っていうのは、その職業についたら、その瞬間から自動で使える特技や性質。ただし、その職業についてるあいだしか効果ないんで、ほかの職に転職したら使えなくなる。


 そのほかに、就労すると職業経験値を重ねて習得するのが、就労スキルや就労マジックだ。これは一回おぼえると、転職しても自由に使える。


 神獣ソロモーンの封引って技は、敵パーティー全体からスキルを一つずつ封じる。しかも、封印してるあいだ、味方がその特技を使える。敵に技をやぶられないかぎり、ずっと封じていられるんだ。さらに言えば、何度も重ねがけできる。要するに、無数に相手の技を封じ続けられるってわけ。


 巨大すぎる部品の場合、スキルは一つしかないから、必ず一回めで、ぶっとびちらかすが封じられる。こっちがその技を使わずにいれば、巨大な歯車にはうばわれた技をとりもどすことができない。究極の封印技だ。


 ああ、今、封引が使えたらなぁ。確実に勝てるのに……。

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