第13話 ぽよぽよ神降臨



 ぽよぽよ神の就労条件を見たら、ぽよぽよ戦士と、いずれかの神職、または神獣系をマスターって書いてあった。あと、資質。

 僕、商神マスターしてるからね。それによく見たら、山びこが神獣系だった。

 にしても、資質あるんだ……僕、人間だよね? ぽよぽよじゃないんだけど。


「なっ! す、スゴイ! ぽよぽよ神の就労中特性。仲間ぽよぽよすべての数値が二倍になる、だって!」

「ほんとっすよ! アニキ。ぽよのステが全部、倍になってるっす」

「ぼ、僕もだー!」


 仲間ぽよぽよ——つまり、僕自身も数値が倍に。

 力が三万こえた。素早さ、器用さ、幸運に関しては就労中ボーナスもよせて、99999。マックスをふりきった。正直、オーロラドラゴン就労中より強い。


「うわ、賢者さま。よく見たら、このぽよぽよたち、めちゃくちゃ強いよ。数値が上限に達してる!」

「あらあら、知力がわたくしより高い……魔法使いなのに魔法威力で負けてしまいましたね」


 へへへ。でしょうね。ぽよちゃんなんか、もともと力マックスだし、これで知力もふりきり。

 なんか、思ってたより、ぽよぽよ、いいなぁ。このままずっと、ぽよぽよ神でもいいかなぁ。


 そこからまたさんざん歩いて、ようやく広場っぽいところに出た。岩のあいだから清水が湧きだしてる。


「賢者さま。これ、回復の泉です。出口が近いですよ!」

「やっと、やっと出られる……」

「やっぱり、迷ってたんですね?」

「え? あら、なんのことでしょう?」

「もう! 賢者さま、いいかげんなんだから」


 回復の泉は嬉しい。嬉しいけど、それってつまり、そばにダンジョンボスがいるんじゃない?


「僕、あとちょっとで、ぽよぽよ神もマスターするから、ちょっと戦っとこっかなぁ」


 ボスにお供がついてるときって、たいてい、そのダンジョンに出現するモンスターだ。無効化無視で呪いをかけてくるお供が何体も出てきたら、苦戦するに違いない。


「アニキが行くなら、ぽよも助太刀するっすよ」


 歩きまわってたら、宝箱を見つけた。悲しそうな青い色の宝箱。なかには、『思い出のハープ』が入ってた。思い出のレクイエムって装備品魔法が使えるようだ。たまりんがいたらな。喜んだんだろうけど。


「よし。ぽよちゃん、ぽよぽよ神、マスターした」

「アニキィ。尊敬するっす」


 マスターボーナスで素早さ、器用さが10%、幸運が20%アップした。幸運の数値があまりすぎるなぁ。今はぽよぽよ職のマスターボーナスしかついてないけど、それでもマックスをかなり超える。計算すると、55555あれば、マックスにはなるので、11111だけMPに足しておいた。今までMPだけ四桁だったんだよね。回復の泉の水を飲めば、MPも満タンになるしね。


 これでボス戦になったとしても、なんとかなるんじゃないだろうか?


「お待たせしましたぁ。僕らもちょっと休憩してから——って、あれ? いない?」


 変だな。ロンドとエンリコの姿がない。さきに行っちゃったのか? でも、二人で行くより、四人のほうが確実にボスを倒せるし、危険も少ないのに? なんか変だなぁ。


「ぽよちゃん。二人がいなくなっちゃったよ?」

「遠耳使っても、気配がないっすよ?」


 たしかに、近くに人間の存在は感知できない。ま、まさか、彼らもほんとはすでにオバケ? オバケだったのーっ? ノーッ! そんなのオバケダンジョンじゃん。ヤダヤダ、ヤダヤダー!


 しょうがないので、休みがてら待ってみた。でも、いつまでたっても二人は帰ってこない。

 これはもう時間のムダってやつか。猛の安否も気になるし、離ればなれになったほかの仲間たちも探さないといけない。これ以上、待ってられないな。


「しょうがないね。ぽよちゃん。僕らだけで行こうか」

「そうっすね」


 遠耳、僕も使えるようになったからね。でも、近くにボスクラスの強いモンスターはいないみたいだ。変だなぁ。いったい、どうなってるんだ? オバケダンジョン……。

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