読み終えたとき、あなたはきっと一番好きな曲を聴きたくなる。

 あなたの好きな曲は、なんですか。
 通学のバスで目を覚まさせてくれた。眠れなかった夜に寄り添ってくれた。そして、好きな人との会話のきっかけになってくれた────音楽というものは、その人の記憶や価値観に強く結びついているものでしょう。それをわかりやすくかつ丁寧に描いてくれているこの小説は五分ほど……それこそ少し長めのロックやポップ一曲分くらいの短編です。ぜひ、聴いたことのない曲を再生するような気持ちで読むことをおすすめします。
 あなたがこの作品を読了したときに一番最初に思い浮かべた曲は、どんな曲でしょうか。今手元に機器があるのなら、その再生ボタンを押してみて。きっと、そのイントロがいつもより愛しく聴こえるはずですから。