第62話 カウントの先は運命
私に関わってくるだろう『予感』のある
ペイモンの第2子「レイナード」が最初から成人として産まれた。
親の念を食べて育つ「念妖」はそれが多いわね。
エラム君は10万歳(10歳)になり、レイナード君と一緒にペイモンと昴ちゃんのスパルタ教育を受けて育っていっている。
ペイモンは徹底的に親の偉大さを認識させるつもりね。
私はベフィーモスになったイザリヤをよく訪ねるようになり、イザリヤの血飲み場兼寝所に認定された拷問部屋(趣味が悪いわよイザリヤ)にも出入りするようになり、拷問官であるゲイルと仲良くなった。
最近ではやはりペイモン宅によく行く。
結果、昴ちゃんとエラム君、レイナード君と親しくなる。
自分でも簡単に姿を現し過ぎだと思うが、やっぱり人恋しいのかしらね。
ペイモンは子供はサッカーチームができるぐらい欲しいと言っているらしい。
手駒が欲しいの間違いだろうと思う。
実際エラム君には領地の片翼(もう片翼はディース)を担わせる教育を、レイナード君にはその補佐としての教育を叩き込んでいるし。
ああ、でもエラム君が15万歳になったら、ディアブロ学園に入れるみたいね。
社交性とコネを作らせるのが目的でしょうけど。
昴ちゃんは第3子を妊娠中。
それと、この頃には王子の派閥争いが激化している。
引退領にまで飛び火しているが、ペイモン領はまだ支持する王子を未表明だ。
イザリヤは戦魔領の方針として紅龍王子を推す事に決定。
理由は、一番積極的に戦魔的にアプローチしてきたから。
他を推すものが居ても関知しないとも言っているが。
♦♦♦カウントアップ開始♦♦♦
5万年が経過。この頃雷鳴は16万歳。だが成長は年齢より遅い。
まだ6歳児ぐらい(超高能力者予備軍の特徴)の外見。
異空間病院への出入り許可と、医術の特訓を開始。
ミラの儀式場(母親の魂に会う事も許可した)への出入りを許可。
エラム君とレイナード君が学園に入学。
4万年前に待望の妹が誕生。昴ちゃんの理想の姿と能力を体現した半念妖。
ペイモンはものすごーく可愛がっている。兄たちが呆気にとられるほど。
名前はフリーヅィン。凄い怪力で、2万歳でオリハルコンを砕く。
♦♦♦
雷鳴25万歳。外見は12歳ぐらいに成長。
この頃、作っておいた私特製「試練の穴」に投入。死に戻り(時間も巻き戻る)を繰り返し、すごい勢いで能力が上がる。
「私の過去」から作り出した仮想世界での生き残りにも挑戦「蛇」もいる設定でやるので、やはり死に戻り(時間も巻き戻る)を繰り返し、こちらは精神が成長。
ペイモン家ではまた子供が誕生。
やんちゃな男の子(獣系戦魔)で、名前はデュオライト。
♦♦♦
雷鳴30万歳。タナトスのイバラの間での修行を許可。外見は16歳。
雷鳴にとっては運命の時―――「抱擁(ヴァンパイア化)」を行う。
♦♦♦
雷鳴33万歳
雷鳴の『教え』の特訓が終了。全てを伝え終わる―――
♦♦♦カウントアップ終了♦♦♦私の運命の時
紅龍王子が試練の穴から出てきた。明らかに成長している。
入る前は少年にも見える中性的な感じだったのに、はっきりと男性に見える。
そして出てくるが早いか魔帝城で宣言したことがあった。
結婚を約束した女性を探している、と。
なんでも、その女性は分身だけが「試練の穴」に取り込まれていたらしい。
本体との接続が切れてしまっているので消えるが、本体を―――本当の彼女を探してくれと頼まれたのだとか。名前はリリス、見れば必ず分かると言っている。
何故か、心がざわめいた。いや、確かに真名の一部ではあるけど、それだけだ。
………本当に?
―――その日。私はベフィーモス城のイザリヤの私室を訪ねていた。
用件と軽いお喋り。じゃれ合い。いい気分で去ろうとした時。
「イザリヤ!」と、紅龍王子が窓から飛び込んできた。
若いころからの知り合いである気安さだ。今も若いが。
私は帰りそびれたので、仕方なく黙礼する。だが紅龍王子は私を凝視している。
「レイズエルと申します」
居心地が悪かったので名乗ってみる。
だが王子は近づいてきて―――私の腕をガッチリと掴んで言った。
「リリス!」
「は?」
「お前がリリスの本体だ」
「そんな、まさか―――」
「古き高能力者、陰に潜む者、ヴァンパイア。何よりその目はリリスと同じ―――」
「ま、さか」
「覚えていないのか、私の事を」
「………知らない。ただ―――」
「ただ?」
「行方の知れない分体が1体。名前はリリス
「
「………行方不明よ」
「思い出せ」
「分からないけど懐かしい。なぜ?」
「お前がリリスだからだ」
その後も彼は腕を離してくれず―――
解放してくれたのは「逃げない」「呼んだら行く」と約束してからだった。
「誓い」は出来ないのかと追及されたので、意味がない事を説明した。
私は誓いに縛られないのだ、と。
「リリスも同じことを言った」
そう言って私を見る目は、ひたすらに純粋だった。
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