第56話 対「破壊の蛇」
私はこの4代期を「破壊の蛇」対策に捧げた。
まず「メビウスリング」は、できるだけ量産しておく。
収納に作った家の一画は、無限回廊にし、暗い廊下に灰色の引き出しが整然と並ぶ場になっている。私の「プルト」としての力だった。
メビウスリングはその中でも、開発成功した「蛇」が触れられない材質で出来た1画に収納して行っている。
そして調べていくうちに「蛇」には人型をした「有頭の蛇」と「頭無しの蛇」がいる事が―――見た目が違うと思っていたら―――発覚。
有頭の「蛇」は上級種であり、人間(悪魔や天使も)の意志を持った「蛇」
だけど肝心の魂は「完全に滅んで」おり、現在の魂は「生前の絶望」を糧に燃えており、-のこと以外考えられないようになっている。+の事は考えられない。
そして「蛇」は自分たちが顕現するのは難しいので「レイス」を使っていることが判明。驚いたことにヴァンパイア氏族のひとつ「カヴァッロ」が操るのもこれだ。
カヴァッロのことは、私も良くは分からない。
銀行経営や商売に手を出してはいるが、一族内でだけ結婚する閉鎖的な一族だ。
裕福な一族であることは間違いないが………警戒が必要だろう。
私は、「蛇」とは元は「バランスと制御の精霊」であり「秩序」「野生」を制御していたことを突き止めた。だから精霊力が有効なのか。
「秩序」は「蛇」に狂わされているが「野生」は健在だ。
だが「野生」は極めて扱いにくい精霊だった。
自然に有り得る姿全てにコロコロ姿を変える(雷や氷や炎、嵐にまで)し、気まぐれでこっちのいう事を聞いてくれない。
その「野生」を本能的に使えるのが「ワーウルフ」なのだ。
イザリヤが人界(彼女の村の近く。村もワーウルフも健在!)と、魔界で彼女がルキフェル様から預けられている森林地帯(何とルキフェル領の4分の1)にも親しいワーウルフの里があるらしい。
イザリヤに頼んで、ワーウルフ達に紹介して貰った。
ここは関係を継続して、じっくり信頼されるように頑張ろう。
私は彼らの言う「ワーウルフキング(都合のいい事に今代は魔界らしい)」に会いたいのだ。とりあえずメビウスリングが喜ばれたので、各里に10個づつ贈呈しておいた。
他に作る事に成功したのは、まずは「精霊の紋章」だった。
地水火風の精霊に光と闇、生と死の精霊力(生の精霊と光の精霊の説得は大変だった)をとじ込め「プルト」の特殊能力である「属性循環」を力が暴発寸前まで高める。
要求したレベルに耐え切れず、壊れたものも多かった。
だが一定以上の大きさのダイヤ(こぶし大、人造で良かった)を使い、成功。
精霊玉と名付けた。
建物内に置く事で「蛇」もレイスも、その場を透視できず、入口から入るしかなくなる。そして、入口にメビウスリングを設置すれば、機密空間が出来上がるわ!
これも3つのワーウルフの里(
そして「星狼族」という数少ないワーウルフの聖域を教えて貰う。
そこは現代賢魔(アスタロト)領の大図書館にある。
「星を崇拝する(魔界では星は魔帝の事)教団」の神殿で、魔帝庁から認可を受けている。本を仮に来たついでに祈っていくものも多いが、実はここは相談事を受け付けてくれる場所としてとても有名だ。駆け込み寺としても有名である。
なんでも相談の多くは恋愛絡みだそうで、恋愛成就のお守りは実効果がある。
暴力や虐待を受けた悪魔達の魔帝庁の書類を、神官権限で変えてやり、その報酬としてそういう人たちに働いてもらっているのだとか。
あと、捨て子を育ててくれることでも有名で、神官のほとんどは逃げてきた人や、捨て子だった男女と結婚し………村ができている。
次代のワーウルフはそこから生まれてくるのである。
職業のあっせんもやってくれ―――ここはとてもいい神殿として名高い。
私は神官長様にお会いして、ワーウルフとして話したいと申し出た。
私の持って来たものを「聖域」で過ごすものを守れる、ととても嬉しそうに受け取り、私の話を親身になって(つい昔の事を喋ってしまった)聞いてくれ、いつでも協力すると言ってくれた。
それと「キング」は代替わりでごたごたしているので、落ち着いたら教えてくれると言ってくれた。本当に悪魔なのかと思ってしまうぐらい優しい人だった。
思わず追加でメビウスリング20個と精霊の紋章2つを渡していた。
神官長は、子供達を守ってやれるとニコニコだった。
あと、ワーウルフの歴史についてや、現在残るワーウルフの分布。
ワームの知識も詰まっている禁書庫へ案内してくれた。監視付きで、いつまでいてもいいという。わたしはそこから次に作るモノのヒントを得た。
家に帰って私は、今回沢山使ったので補充のメビウスリングを作る。100個ぐらい。
さすがに疲れ果てて寝てしまったが………。
起きたら精霊の紋章も10個ほど作った。全部保管庫に入れる。
保管庫はアルファベットや数字で分け、亜空間から取り出す時間違わないように展示も打っておいた。これからは作るものはほとんどこの「無限回廊」に入れるだろう。
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