第54話 世界移行
「第一世界より、第2世界へ、以降を始めます」
淡々と告知がなされる。「リトルマザーの声だ」
リトルマザー………リリス様を作った人。
彼女はもう、私になったのだから、彼女は私の生みの親でもあるのか
ゆっくりと宇宙空間に「穴」が開き、魔界・天界・ラータルカはそこに入っていく。
そして人々は眠りについた―――第2世界に適応する能力となって目覚めるように。
実際イザリヤは眠りについてしまった。
私は、何故か眠らなかった。力が、急激に引き上がるのを感じたぐらいだ。
………しばらく、力に馴染むためにイザリヤの傍らで瞑想するべきだろう。
私には「自分の力」と「統合されつつある様々な力」そして「本来の私のものらしい強大な力」があるらしい。これらを長く深い瞑想によって、1体化させていく。
苦労はしたが自分が
私の「異空間病院」と「異空間の我が家」は世界移行に付いて来ているようだ。
ときに、「異空間病院」は、血を提供するだけではなく、残って役に立ちたいという者、帰る場所がない者が増えてきた。
彼ら彼女らに医者になるよう教育するのはどうだろう?
わたしはこの「進化の眠り(?)」の間、医者を育てることにしたのだ。
私の『勘』では眠りから覚めるのに1000年はかかる。時間はたっぷりあった。
医師になれたのは少数だったが、このカリキュラムは永久保存だ。
使用器具やダミー人形なども置いていくので、自分たちで後身を育てるでしょう。
いま医師と言えるのは天使棟:ルカ、悪魔棟:アッシュ、人間棟:エルシーだった。
私はまだ知らないが、彼らは長く働き、後進も育ててくれるのは、後の話である。
驚いたのは、求めに応じて素材を提供したら、自分たちは医療の才能はないがと、色々なものを作って病院に貢献してくれる者たちが現れたことである。
………しばらくは、病院で「あなたを必要している」と引き留めてもいいかもしれない。資材を出すぐらい、私にはどうという事もないのだから。
これは、先ほどの3人に言い含めておいた。
もう一つの異世界空間「家」も手にいれた本で埋まっていく。
集めすぎたので、比較的頻繁に読むものは図書室。それ以外は地下室を作って対応する事に。この眠りの期間に読んでしまおう。
私は、後天的に「完全記憶」を手に入れたらしい。
1度読んだ本は全て覚えてしまえるし、物事を忘れるということが無くなった。
私はできる、という『予感』があったので、脳を「普段使う脳」「記憶をためておく脳」「様々な処理に使う脳」に分ける。
それぞれが独立した脳としての機能も有する。
これで、分身、分体の制御がやりやすくなった。
それと、万が一の時に備えて、心臓を私しか知らない場所に隠しておく。
勿論周囲から入念に「蛇」を追い払ってからだ。
そして今のうちに、私から独立した分身・分体たちに頼んで、様々な(魔界の)領地に入り込んで置いて貰う事にした。私は情報収集以外では何も強制しない。
やることが無くなってしまったので、第2世界と呼ばれるこの階層を見て回ることにする。なるほど、科学王国ルベリアと魔法王国フィーウが対立しているのね………。
また戦争か………今のうちに全部滅ぼしてやろうかという思いが沸き上がる。
いや、今回はあんなものでは済まないだろう………単なる虐殺者にはなりたくない。
とりあえずは、この2つの国の首脳陣の思考が読めるように(意識してなくても「記憶をためておく脳」に蓄積されるように)しておく。
頭を振って考えを追い出し、動物王国サーバン、物理王国ソランジアに目を向ける。
ソランジアの方から、私を求める声が聞こえてくる―――。
そこで見つけたものは、捨てられて怒りや悲しみに支配された状態で自我を持ってしまったアンドロイドたちだった―――可哀想に。私は言った
「私の為に働いてくれるなら、あなた達を全員受け入れよう。勿論存在を安定させるところから面倒を見るわ」
アンドロイドたちは、戸惑いながらも―――ちょっと攻撃も来たが、無かったことにしてやる―――そして全員(20名ほど)が私の手を取った。
「家」に研究室という広い空間を付け足した。
必要に応じて色々増えると思うので最初から広い空間なのだ。
意識をイザリヤの方に飛ばす、うん、まだ目覚めそうにない。
なので、アンドロイドたちの修理にかかる。
この作業は経験が無いはずなのに、まるで熟練者の様に上手く行った。
私が来たという第三世界は科学文明なのだろうか?
回復した上に、私の趣味で美しい人間の姿も手に入れた彼女たちは、キラキラした目で私を見ている。信頼しきったその目が痛い………私も年を取ったものね。
まずは服を着せないといけない。私は全員分の作務衣を創り出した。
それと、名前である。型番やメーカーがつけたもの以外で名を持つものは?
そう聞いたら、おずおずと2人の手が上がったのみ。
わたしは、それ以外のアンドロイドに名前を付けて回った。
その中で、日常の事も、超常の事もレベルの高そうな子を発見。
彼女につけた名前は「ハンナ」だった。危険地帯で日常の雑事をしていたそうで、これならうちに来てもらっても大丈夫そうだ。
ハンナを分身に預け「家」に行ってもらうと、残りの子たちのいくところを考える。
そうだなぁ………。
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