聖都

第5話 花はつぼみで

 私の乗った馬車は白亜の都、聖都「クォンメル」に辿り着いた。

 私は即座に馬車から降ろされ、びっくりするほど大きなお風呂に連れていかれた。

 そこで、5人近い女性に体と髪を洗われる。

 そして、高位神官アイゼン様に再度引き合わせられた。

「おお、改めて見ると、本当に美しいのそなたは。そなたは15であったかの」

 コクンと頷く

「おお、ならばもうすぐ「お披露目」じゃな。くるしゅうない、わしが後ろ盾になってやるゆえ、「はじまりの儀式」はわしのところにくるがよい」

 ―—―ほかの奴に恩を売ることもできるが、あまりにももったいない―—―。

「お前の美貌は特別なのじゃよ」

 なぜか、わたしはこの言葉が怖かった。

 聞き覚えのない言葉のはずなのに―—―。

 アイゼン様がぎらぎらと油じみた目をしているのを見て、私の不安は加速する。

 はたして、私はその夜処女を失った

 痛いと、酷いと泣き叫んでみても、運命の女神はを変えてはくれない。

 余すところなく穢され尽くして、私は快楽を感じたのだろうか?

 わからない。快楽というものが分からなかった。

 わたしは挿入の痛みに耐え切れず、叫び続けて気絶したのであった。

 次の朝、アイゼン様の褥で、私は目をさました。

 反射的にアイゼン様から後ずさる。

「どうしたどうした、昨日はたっぷりと可愛がってやったではないか」

 今更怖がることはないぞと、アイゼン様は言う。

 確かに今更だ。今の私でも、自分が穢れてしまったという自覚がある。

 村の漁師の長が、防いでいてくれたことが、今起きたのだと本能でわかった。

「………わたしはこれからどうしたら?」

 その答えは簡単だった

「始まりと運命の巫女が無学ではまずいからのう。勉強に専念しなさい」

 勉強。したいと思ってもできなかったこと、それが叶う?

「17になったら、花を与える仕事もしてもらうから、そっちの方も先輩にしっかり学ぶんじゃぞ」

「………?花を売るとは何ですか、アイゼン様」

「昨日ワシとしたことを、熱心な信者の男で希望者にしてもらうのじゃ」

 それを聞いただけでここから逃げ出したくなったが、無駄だ。

 こんなにたくさん人がいるのに逃げ出せるわけがない。

 外に出ても、生きていくすべを知らないのだからどうしようもない。

 私はうなだれて「ハイ」という事しかできなかった。

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