第40話
「さて、そろそろ街へ向かう準備をするかな」
俺は他の畝の手入れも終わったところで、すぐに街に向かおうと考えていた。
今日はたくさん持っていくものがあるのだ。収穫したポムテルとシュワンはもちろん、パプリが生み出した金塊や昨日倒したグランドボアの牙もできれば持って行きたかったのだ。
「それにしても、全部持って行くとなれば相当な量の荷物になるな……。たしか『資材ショップ』にリアカーがあったような……」
本当ならば大きいリュックサックのようなものがあれば良かったのだが、あいにく『資材ショップ』では農業に関するものしか購入できない。
『資材ショップ』にならば商品で、荷物を手軽に運搬できるというのはリアカーや一輪車くらいしか思い浮かばなかった。
俺は『資材ショップ』を発動し、タブレットでリアカーを探し始めた。
「ええと……あったあった。値段が……げ!6,000ポイントもするのかよ!」
なんでそんなに高い価格設定なんだ?
商品の詳細を見ると、折りたたみ可能!高強度アルミフレーム!なんていう商品紹介がされていた。別に俺は普通のリアカーであれば良かったのだが。
俺はリアカーを一旦諦めて、何か他の方法が無いか考えることにした。
「ん?そういえばポイントが増えているな。ようやくカミラがポイントを付与してくれたのか」
『資材ショップ』を見ていると、1万ポイント以上が付与されていることに気がついた。
なぜかコブルコの時よりもかなり付与されるポイントが少なかった。
その後、メッセージのアイコンが点滅していたことに気がついた。
もちろん、カミラからのメッセージだった。
◇From カミラ◇
久しぶりなのじゃコーサクよ。
今回も上納ご苦労様なのじゃ。
今回付与したのは15,000ポイントじゃ。前回より少ないと感じたのも無理はないのじゃ。
コブルコの場合、狭い区画で栽培してもかなりの収量があったからのう。
シュワンは狭い区画で栽培するのに不向きかも知れぬ。もちろん魔法の肥料を撒いた場合のことじゃが。
ポイントがもっと欲しければ、狭い区画でたくさん収穫できる作物を栽培すると良いのじゃ。
それじゃ引き続き農業を楽しむのじゃぞ〜
◇
「なるほどな……。確かにシュワンも15玉ほどしか収穫できていないしなあ」
まあ、少なくなっていたポイントが回復したし喜んでおくべきか。
それよりも今はどうやって大量の荷物を運ぶか考えないといけない。
それとも作物は少量だけ持って行って、アルベールさんにどれくらいの価値になるか聞いてみた方が良いのか?
「少しだけ持って行くにしても、やっぱりリュックサックみたいなものが欲しいな……」
俺はしばらく『資材ショップ』を見ながら何か良いものがないか探していた。
すると、俺が求めていたものをようやく発見することができた。
「麻袋あるじゃん!しかも口紐があるタイプだし、これなら色々詰めても運びやすいはずだ」
俺が見つけたのは、茶色の巾着のような形をした麻袋だった。
大きさは1メートルくらいの物なので、普段であれば少し使い勝手が悪いと感じるかもしれないが、今日のようにたくさん持って行く荷物がある場合は最適だと考えた。
「そろそろ街に向かわないと帰る時間が遅くなってしまうな。荷物を詰め込んで早く出発しよう」
俺はすぐに5枚セットの麻袋を購入し、その内1枚にはシュワン1玉とポムテルを10個詰め込んだ。
さらにもう1枚には、昨日『錬金』で作った回復薬やパプリから生み出された金塊を入れ、最後にグランドボアの牙を詰め込んだ。
グランドボアの牙は大きすぎて袋から飛び出してしまったが、その辺はあまり気にしないことにした。
「パプリー。そろそろ出かけるぞー」
俺はパプリに声をかけ、すぐに街に向かうことにした。
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