第39話
俺がシュワンを家に運び入れている最中には、補給ボックスからピピピピ、というタイマーのような音が鳴り響いていた。
おそらく朝7時を迎え、朝食が用意されたのだろうが、とりあえずキリのいいところまで作業を進めたかった。
結局、シュワンを家に運び入れ終わったのは、補給ボックスのタイマーが鳴り響いてからだいたい15分後のことだった。
「ふう……ようやく終わった。まずは飯だな。腹が減って死にそうだ」
パプリを脇に抱えながら家に入った俺は、補給ボックスから朝食を取り出した。
「ほら、お前のご飯はこれだ」
パプリは収穫の途中から、シュワンを食べることを諦めたのかすごく大人しくなっていた。
俺は先程、シュワンの結球の外側に広がる葉を数枚拾ってきた。普通であれば捨てる部分になってしまうが、パプリなら喜んで食べるんじゃないかと思って持ってきたのだ。
テーブルの上にシュワンの葉を置き、俺はパプリと一緒に朝食を食べた。
シュワンの葉はパプリに好評のようで、あっという間に食べてしまった。
◇
朝食の後、俺は収穫したポムテルも家に入れようと畑に出た。
今回はある理由でパプリも一緒に連れてきた。
「ほら、あそこの葉っぱなら全部食っていいからな。行ってこい」
俺はシュワンを育てていた区画にパプリを放した。
朝食を食べていた時、俺が家に持ってきた分では足りなかったようで、もっと寄越せと言うようにテーブルの上で跳ねていたのだ。
シュワンの区画にもう用はないので、俺はパプリの餌として残った葉を食べさせることにしたのだ。
「パプリが葉っぱに夢中になっている間にさっさとポムテルを家の中に運んでしまおう」
そうして俺は『資材ショップ』で購入したカゴにどんどんポムテルを詰めていった。
このカゴ、なんと1つ300ポイントもしたのだが、今後作物の収穫で役に立つだろうと思い、俺は5つ購入したのだった。
しかも折りたたむことが可能で収納に困らない。それがたったの300ポイントだ。
……宣伝しているようになってしまったな。
しばらく作業を続けると、用意した5つのカゴから溢れそうなほどポムテルが収穫できた。
俺はポムテルがたくさん入ったカゴを家の中に運び入れ、最後にパプリも回収することにした。
「ほら、一旦家に戻るぞ……って、また金塊出来てる!食べた分だけ金塊生み出せちゃうの?」
パプリは昨日に引き続きまたしても金塊を畑の上に生み出していた。
一定の量の植物を捕食すると金塊を生み出すのだろうか?まあ、パプリの糞として出るのがこの金塊だから、その説が正しそうだが。
まだまだシュワンの葉を食べようとしているパプリを引き離し、俺は家に戻るのだった。
「さて、作物も揃ったしカミラに上納するか。でもアルベールさんに作物を買い取ってもらう約束だし……持ち運べる分だけこっちに残しておくか」
俺は今日も街に行ってアルベールさんに作物を買い取ってもらおうと考えていたのだ。
当然全てをカミラに上納するわけにはいかないので、俺はシュワンを3玉、ポムテルを1カゴだけ残してカミラに上納することにした。
「よし、それじゃ……上納」
俺がそう呟くと、目の前にあった作物は消えてしまった。
最近『資材ショップ』のポイントが少なくなってきて少し不安だったのだ。これでまた色々な資材を揃えることが可能になるだろう。
「そういえばステータスってどうなったんだろう?作物を収穫したからレベルも上がっているはずだけど……ステータスオープン」
【名 前】 コーサク
【年 齢】 18
【職 業】
【レベル】 8(+2)
【体 力】 80/80(+20)
【魔 力】 38/38(+8)
【攻撃力】 52(+12)
【耐久力】 17(+2)
【素早さ】 24(+4)
【賢 さ】 80(+20)
【スキル】
錬金(レベル2)
鑑定(レベルMAX)
資材ショップ(レベル1)
【経験値】 499/575(収穫数)
ステータスを見ると、やはりレベルが上がっていた。経験値の収穫数というのは、今まで収穫した累計の数が表示されているようだった。
「よし、これでまたモンスターに襲われて死ぬなんていう可能性が少し下がったな。相変わらず耐久力は上がらないんだな……」
攻撃力よりも耐久力の方が大事な気がするんだが。
こうして無事レベルアップも終えた俺は、その後残りの畝の農作業を行なった。今日も街に行きたいので、雑草抜きや水やりなどを急いで終わらせることにした。
『資材ショップ』のポイントについては、なぜかすぐに反映されなかった。カミラのやつ、ポイント付与より先に上納された作物を食べているんじゃないか、などと少し疑ってしまうのだった。
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