第34話
木箱の中を探すと、ぼんやりと緑色に光っている結界石をすぐに見つける事ができた。
俺は急いでその結界石に『鑑定』を発動させた。
◯結界石(発動中)◯
モンスターを周辺200メートル以内に近づけさせない。
「良かった……結界石は壊れていないようだな……。ということはモンスターでもこの区域内に入ることができる方法なんかもあるのか?」
俺は無事に結界石が発動されている事を知り、胸を撫で下ろした。
しかし、そうなると結界石にも何か抜け道のようなものがあるのかもしれないな
まあ、その辺は今度カミラに会った時にでも聞いてみるか。
「ふう……色々考えていたら腹が減ってきた。そろそろ夕飯の時間じゃないか?」
俺は補給ボックスの扉についている時計を確認した。時刻はあと2分ほどで5時になるところだった。
俺の腹時計、やけに正確だな。
その後、俺は夕飯を食べながらパプリの様子を見ていた。
完全に草食なのか、今日の夕飯である牛型モンスターガルブのステーキには目もくれなかった。目があるかどうかはわからないけどな。
◇
「さて、そろそろ『錬金』の練習でもするかな。早くしないとせっかく買ってきた薬草もパプリの餌になるかもしれないし」
俺は夕飯を食べ終わった後すぐに『錬金』の練習を始めることにした。
プリシラが選んでくれた素材を袋から取り出し、とりあえずテーブルの上に広げた。
テーブルの上に広げた素材は主に薬草ばかりなので、パプリはまた餌をもらえると思ったのかピョンピョン跳ねて喜んでいた。
もちろん薬草を好き勝手食べられるわけにはいかないので、俺はパプリを片手で抱えながら『錬金』の練習をすることにした。
「そういえば全部同じ薬草だと思ったけど色が違うのも多いんだな……。全部で何種類あるんだ?」
俺は今更だがプリシラから購入した薬草などを『鑑定』することにした。
◯エドラ草(地下茎)◯
低級薬草に分類される薬草。地下茎に薬効成分が多く含まれる
◯カシア草◯
低級薬草に分類される薬草。若いうちは葉が赤みがかっており、葉に薬効成分が蓄えられると徐々に緑色に変色していく。
◯ジュバの実◯
1メートルほどに育つジュバの低木から採れる赤い木の実。木の実に薬効成分が含まれており、貯蔵性を高めるために乾燥されることが多い。
◯アミュレス草◯
低級魔力草に分類される魔力草。様々な地域に自生しており、オレンジ色の葉が冒険者にとって見つけやすいことから魔力回復薬の素材として多く流通している。
「おお、色々表示されたな……。でも回復薬のレシピがわからないからなあ。プリシラに聞いてくれば良かったか?」
以前魔法の肥料を作った時には適当に『錬金』を発動させただけだった。
いざ回復薬を作ろうと考えた俺だったが、どの薬草を使えばいいのかもわからなかった。
「まあいいや、今回も適当にやってみるか。これって薬草1種類からでも作れるものなのか?」
以前に『錬金』を発動させる時は2種類以上の素材を掛け合わせようとしていたが、鉄鉱石から鉄のインゴットだけを錬金できたように、回復薬も薬草1種類から作り出す事が出来ないかと考えたのだ。
俺はテーブルに広げた薬草の中から、茶色の細長いごぼうのようなものを手に取った。
「とりあえずこのエドラ草ってやつから試してみるか。『錬金』」
そうしてエドラ草に『錬金』を発動させた俺だったが、すぐに以前の『錬金』と違う点に気がついた。
「あれ?そんなに光らない……?」
魔法の肥料を作った時には、目も開けられないほどの明るい光が部屋を照らしたものだったが、今回はぼんやりとした白熱球程度の光しか発しなかった。
まさか失敗したんだろうか?
以前と違う光景にかなり不安になった俺だったが、『錬金』を発動したエドラ草の光が収まると、そこには緑色の粉末が5センチほど盛られていた。
「……え?これで終わりなの?ずいぶん呆気ないものだな……。って、そういえば鉄のインゴットを作った時もそんなに光らなかったっけ?」
魔法の肥料というとんでもないものを作ってしまったせいであまり覚えていないが、2回目の『錬金』はそんなに明るくなかった気がするな。
「ということは失敗ではないのかもしれないな……。よし、『鑑定』」
失敗していたらどうしようと少し『鑑定』を発動させる事を躊躇していた俺だったが、鉄のインゴットの成功例を思い出したので、すぐにテーブルの上に現れた粉末に『鑑定』を発動させることにした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます