第35話

◯低級回復薬(レベル2)◯

 水に溶かして外傷にかけると、傷を癒して体力を10ポイント回復させる事ができる。



「……成功だ!失敗してなくて良かった……」


 しかもレベル2の低級回復薬だ。レベル1とレベル2でどれくらい価値が違うのか分からないが、品質の高いものが作れたことはとても嬉しかった。


 しかし生産した物のレベルっていうのはスキルレベルが関係するのだろうか?俺はその点に少し疑問を覚えた。

 俺の『錬金』のスキルレベルは1だったはずだし、それでも魔法の肥料なんかはレベル5の高品質なものを作り出す事ができた。


「もしかしてスキルレベルが高いほど、高品質の物を作り出す確率が上がるんじゃないか?」 


 俺は『錬金』について1つの予想を立てた。

 スキルレベルが1の時には運ゲー要素の強い『錬金』も、スキルレベルが上がるにつれて、安定して高品質なものが作れるようになる……。

 逆にスキルレベルが低いと良い素材を揃えたところで狙ったものが作れない、ということではないかと考えた。

 プリシラもスキルレベルが低いと、エリクサーを作れる材料を揃えても質の低い回復薬しか作れない、というような事を言っていた気がするし、あながちこの説も間違いではないのではないかと考えた。


「この説が本当だとすると、今のままじゃ運ゲーだな。魔法の肥料を作れたのも本当に運が良かったことになるな」


 まあ、あの肥料は引き続き使わないことにしよう。性能が異常すぎるし、あれに頼らなくても美味しい作物を作れるようになりたい。


「とりあえず『錬金』の練習だな。ところで俺の魔力の残りはどれくらいなんだ?見てみるか……ステータスオープン」

 


 【名 前】 コーサク

 【年 齢】 18

 【職 業】 錬金農家アルケミー・ファーマー

 【レベル】 6

 【体 力】 60/60

 【魔 力】 28/30

 【攻撃力】 40

 【耐久力】 15

 【素早さ】 20

 【賢 さ】 60

 【スキル】 農学者アグロノミスト(レベル1)

       錬金(レベル2)(UP!)

       鑑定(レベルMAX)

       資材ショップ(レベル1)

 【経験値】 375/385(収穫数)



 俺はまた魔力切れになって倒れるのは嫌だったので、ステータスを開き残りの魔力量を確認した。


「今のでマイナス2ポイント、ということか。これが多いのか少ないのか分からないが……ようするにあと14回『錬金』を発動させても問題なさそうだな!」


 意外と『錬金』で何かを作るのも楽しくなってきた。

 俺はすぐにステータスプレートを閉じようとしたが、ステータスが変わっていることに気がついた。


「……あれ?『錬金』のスキルレベル上がってるじゃん。なんでだ?」


 なんと『錬金』のスキルレベルはレベル2まで上がっていた。いつ上がったのかは分からないが、こんなに早くスキルが成長するなんて思ってもいなかった。


「まあ、スキルレベルが上がることに越したことはないか。それより『錬金』の練習だな!」


 スキルレベルが上がっていることもあまり気にせずに、俺は机に広げた素材の中からエドラ草とは別の植物を選んだ。


「この木の実、食べたら美味しそうな色だな……」


 俺が手に取ったのはジュバの実という赤い木の実だった。梅のような大きさだがその実は乾燥されており、表面にはシワがたくさん寄っている。


 このまま食べられる物なのかどうかも分からないので、もちろん口に運ぶことはしなかった。


「これも1種類から回復薬を作り出せるんだろうか?まあ、物は試しだな。『錬金』」


 俺は今回選んだジュバの実も1種類から『錬金』を発動させることにした。

 しかし、いくら待ってもジュバの実が発光するようなことは無かった。

 確かに俺は『錬金』を発動したはずなのに、全く反応しないなんておかしい。


「まさかこの木の実だけじゃ回復薬は作り出せないのか?」


 魔法の肥料を作った時のように複数の素材が必要になる場合もある。もしかしたら他の素材と掛け合わせて使う物なのかもしれないな。


 パプリに餌として与えていたエドラ草も量が少なくなってきた。

 このままパプリの餌になってしまうと色々試すこともできないので、俺はエドラ草とジュバの実の2つを掛け合わせて『錬金』ができないかと考えた。


「よし、それじゃあやってみるか。『錬金』」


 俺が『錬金』を発動させると、エドラ草とジュバの実は明るく発光し始めた。

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