邂逅
春まだ浅い薄日に栄える
しんしんと小雪が舞うこの界隈に何故であろうか、足跡は永遠を心身と置く。キミがいた意思を石のように固め、道を作っていった。そのあとだ。
未知には根付くはずのない桜が咲いては散り続け、街と街を繋ぐ砂漠の間を縫い、生き代われる。この廃墟に等しい今においても人々は、細々と命を繋いでいるのだよ。
なお闇夜に覆われたか細い焔は手探り、それでもぼおと足元を照らし、視界を霞ませながら咲き誇る桜にどうしてか、瞳を奪われてしまうばかり。
それがまた怖ろしくまた心に染み、滲んでは境がわからなくなる。
そんな盲目のせいよ。
生も死も有り触れてすべて亡くした痕はほんのりと紅く。子は「キレイね。」とただ思うままに展を振り仰ぎ、その余韻と空白の愛間に、コトバと遺しますから。
それがまた離れがたく捩れては絡み合い、また細々と然し強固に手を取り合い個を宿し、無駄に受け継がれて征くものでしょうよ。
尾ひれは突如現れた きっとなにか 目に見えない、病魔でも戦でもなくただ 触れるだけ眠りに堕ち砂に還るという。
これが時と磨り切れたような鋭利な美しさを心に遺し悼ませ続けているありさまよ。
真実とは薄く、現実より微温く、そうであったと信じたくもなる。それほどに記憶から剥離していく、母なる海に宿る魂たちの、足を得たが故の不器用な弔いかた。
「やさしさとは、」
薄い紅で抓まれたコトバ限りに老いて花弁で包まれる、繰り返される根底に、なにか刻まれているのだと、あるはずもない未来に過去に、死骸を堕胎しては憐れにも想っては。
「元より、なかったのかも判りませんが……」云い淀み吟遊詩人は竪琴を奏でましょう。
常々桜の苑にあり「やはり生命など何一つないのだから」と騙る。耳を澄まし微笑するそれもまた、風化したものを拾い集め、あてどなく紐解いただけなのですが。
真実とは如何ほどに脆く、耄碌のなせる業とはそれはそれでと……焚きつけられた
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