第2話

 お母さんはその話を聞いて、嬉しそうに頷いてくれた。その表情の裏に悲しそうな目をしていることに気づいたが、そっとしておいた。



 その日の夜、一人になるとまた、足元に違和感があった。

 もしやと思い、すぐに引き寄せる。案の定、交換日記と書いてある昨日のノートだ。



『お返事ありがとう、今日僕は、野球の練習をしたよ、お父さんとのキャッチボールもおもしろかったよ。君は野球好き?』


「そっか、僕も野球好きだよ、毎日クラブチーム同士、試合してるんだ、僕はショートを守っているよ。きみは?」



 楽しそうな日記に腹がたったのか、

 僕は、嘘を書いてしまった――――


 そして、交換日記はそれからもつづた。

 一週間経った今、日記の中の僕は、プロ野球選手を目指す元気で明るい子になっている。それは願望でもあり、ひがみでもあった。



『友弘くんは、何処に住んでいるの? 今度一緒にキャッチボールしようよ!』


 正直に話すべきか、話をはぐらかすべきか

悩んだ挙げ句、嘘は嘘を呼ぶという結論に至った。



「友弘君、正直に言います。本当の僕は、病院にいます、とても重い病気で、もう多分病院にから帰れないと思う。だからキャッチボールなんてできない、リトルリーグで試合とかも、全部嘘だったんだ、こうだったらいいのにな、って思っただけなんだ。本当にごめんなさい」



 酷いと思ったのか、翌日になってもその次の日になっても、日記はかえってこなかった。





















































いるしている












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