開演。-Fräulein/Frontline-
そのちょっと前。/
視線を
「わわっと!」
滑り落ちるティーカップを素晴らしい反応速度で
かちり。
刻まれる秒針。カウンター裏に飛び込んだレオは、そのまま会計をしようとしていたウェイトレスの頭を掴んで強引に胸に抱いた。
――爆発。
破砕音。吹き飛ぶ窓ガラス。次いで横殴りの火柱と黒煙。
まずレオが顔を出す。
「
「点呼いる?」
「
仕掛け人たる〈
「――流石は天下に名だたる【
そのリーダーを張るアリスをして、四人全員がこの爆破の中で無傷という結果は、文字通り舌を巻くものだった。
その他大勢の
「はいカカシ」
「別に良かったのに」
「でも飲み終えてなかったじゃん」
「……ありがとう」
「で、どうする、だ」
作戦開始前だというのにこの状況。売られたぞ、とスズがリーダーの意思を問う。
倒したテーブルの裏で、ふっと舞い上がった
「買っちゃおう」
「作戦も開始」
『
狙った獲物は逃がさないが
立ち上がる。
「アリス、アリス。君がリーダーでいいんだよね」
紅茶色の猫っ毛の下から、確かに視線を受けて、
「――えぇ。これは
「ドロシー、先に行ってて」
「はーい!」
/
キィン、という快音。爆破された店内から噴き出す煙を引きながら、
「ハンプ、ダンプ」
「やっと出番かー」「初速エグっ!」
直後、二筋の軌道が一つの爆音を
「「待てよォ、〈
「……スカイラウドシリーズか。良い音出してるなあ、じゃああの双子が〈ジェミニ〉?」
「ええ。余裕があるのね、カカシ。素敵だわ?」
「さあ、どうかな。誰が誰より速いとか高いとか、あんまり興味がないんだ。君の方こそ、追わなくてもいいの?」
そんなやり取りの中。
「リーダーは君なのだろう、少年。ではこれで
少年と少女の間に割って入る人影が、
「やぁぁぁっぱヤると思ってたぜ! 坊、このコスプレ野郎もらってくぜえ!」
即座に飛び蹴りをかますレオごと、粉砕されたドアから
「野蛮ねえ貴方のところのライオンさんは。……マッドハッター! 負けたら承知しませんわよ!」
その脇。
「スズ、足止めお願いできる? さっきの爆弾、彼のだろ」
「了解、だ」
黒と白、二人の大男が不動でメンチを切り合っている。
「ホワイトラビット」
「あぁ。
「アリス、お先にどうぞ。僕はちょっと遅れるから」
「……まさかとは思うけれど、逃げませんわよね?」
「はは、それこそまさかだろ」
軽く肩を揺らして、どこか
「助けたんならしっかり払ってって欲しいよね。はい会計。お釣りはいいよ、お店の修理には足りないだろうけど。良い紅茶だった」
ご馳走様、と付け足して退店した。
――予想通りというか、なんというか。外に出てみれば、いつぞやの週末のようにロンドンの街は大騒ぎだった。
「……なるほど、
たしかに、と。
「ヘイ、タクシー」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます